研究課題/領域番号 |
21K19634
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴沼 晃 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90647992)
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研究分担者 |
神馬 征峰 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 名誉教授 (70196674)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 構造的差別 / マイクロアグレッション / 移民と健康 / 医療サービス / 介護サービス |
研究実績の概要 |
被差別経験に関する質問紙調査で国際的に利用されている9項目のスケール「Everyday discrimination Scale」(EDS)について、日本語版を作成すべく妥当性と信頼性の検証を行った。仮翻訳版を公衆衛生と質問紙調査の専門家6名が検討し、内容妥当性を吟味した。また、7人の一般回答者が表明妥当性を吟味した。その結果、日本における被差別経験で重要と思われる「無視、仲間はずれ」に関する項目を追加して10項目の日本語版(スコアの理論上のスコア範囲0~50点)を作成した。同日本語を利用して、日本国籍保持者を対象にオンライン調査を実施し、十分な内的妥当性を保持していることを確認した。日本に在住する外国人住民を対象とした調査での10項目EDSでの平均12.4点(標準偏差10.7点)に対し、日本国籍保持者は平均7.9点(標準偏差10.8点)であった。回答者の社会経済的属性を調整した後も、両群の平均点差は6.0点(95%信頼区間4.2、7.8点)であった。全10項目のうち、7項目は外国人住民において有意に高い被差別経験があったが、残り3項目では有意差はなかった。外国人住民は日本においてより多くの被差別経験を有する傾向がある一方、日本国籍者においてもみられる被差別経験があることが明らかになった。 日本における医療従事者と介護従事者の2群を対象に、新型コロナウイルス感染症関連のスティグマ、ソーシャルサポート、及び身体面、心理面、社会面、環境面の4側面の生活の質に関する調査を実施した。その結果、両群ともにスティグマは生活の質の各側面と負の関連があったが、ソーシャルサポートによる修飾効果は認められなかった。医療従事者や介護従事者自身がもつソーシャルサポートがスティグマによる生活の質への影響を軽減する役割は限られており、より公的なサポートが求められることが示唆された。
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