皮膚組織には、概日リズムが存在するという報告がある。人が本来あるリズムをより助ける環境の提供ができれば、創傷に対してさらによい回復が期待されるが、逆の環境は、病状を悪化させる。概日リズムはふだんの生活に密着している事柄であるが、看護教育に、看護実践の技術としてとりいれられているとは言えない。臨床実践での看護技術に、時間生物学(概日リズム)を取り入れ、融合させることを考えた。そこで、本研究の目的は、皮膚の概日リズム機構に着目し、環境の違いが、皮膚のバリア回復に及ぼす影響や、本来の皮膚のリズムを生活面から明らかにすることである。 若い女性を協力者として日本のリアルライフを尊重した条件での皮膚の日内変動を明らかにするために行った実験の解析を行い、論文を作成中である。 実験の結果からは、朝夕に行う洗顔がそのリズムをマスキングしていることが明らかになった。皮脂が日内変動を表すマーカーとして、検査者の技術に影響しないことが明らかになった。 そこで、光の波長の違いの効果で、皮膚のリズムに影響があるかどうかを確認するための実験を2023年に実施した。男性を対象に、洗顔の代わりに保湿剤があまり含まれていない顔用シートで前額を清拭した3時間後に、皮脂と、皮膚の色を測定した。ケアの目安などに、皮脂量がリズム査定指標にできる可能性があるかどうかを解析している。
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