研究課題/領域番号 |
21K19665
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
緒方 浩二 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (40265715)
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研究分担者 |
百渓 江 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (00824848)
坂井 久美子 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 講師 (70824803)
福島 聡 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (50847126)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 発熱性感染症 / 予兆検知 / 警戒システム / 体温分布 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
発熱を伴う感染症、特に新型コロナウイルスの感染流行は、集団の平均体温の上昇と相関があることがKinsa社(米)の研究から明らかになっている。この結果を利用して、本研究は、コンピュータシミュレーションと集団体温のモニタリングとを相互補完的に用いて発熱を伴う感染症の流行の予兆検知とその警戒システムの開発を目的とするものである。具体的には、(1)学校などの各集団における体温分布の測定とモニタリング、(2) 体温に対する感染の流行度合いを表す関数の定義、(3) シミュレーションで用いるモデルの構築、及び、(4) モデルを用いた感染症警戒システムの開発の4つのテーマで構成されている。 (1)に関しては、人の表面温度を測るサーモグラフィーカメラを山陽小野田市内の小学校(2校)、中学校(1校)、高校(1校)に設置し、児童・生徒の表面温度(体温)の測定を行っている。2021年12月から各学校にカメラを設置し、2022年4月までに約4万件程度の児童、又は、生徒の体温のデータを取得することが出来ている。(2)に関しては、取得したデータと設置した学校における欠席者の数の間に弱い相関が観察されており、体温の分布と学校の位置関係、更に、欠席者との間の関係に関して解析を進めている。また、狭域で測定された体温の分布と全国、又は、山口県などの広域で発症した新型コロナの数との相関解析を行っている。 (3)に関しては、人を粒子とみなして、それらを格子状に配置したパーコレーション(浸透)モデルを用いて、確率論的に感染するモデルの作成を行っている。このモデルにより得られた欠席者の分布が各学校の欠席者の人数の分布に合うようにパラメータの調整などを行っている。更に、パーコレーションモデルを用いてコロナの発症人数を再現する試みを行っている。それと同時に、人をランダムに動かして感染状況を再現する粒子モデルも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小学校などに設置するサーモグラフィカメラの選定に時間がかかってしまった。その理由として、被験者の表面温度を測定し、そのデータを記録できるものの数が少なく、かつ、高価なものが多く、申請した額の中で複数台購入できるものを探すのに時間を費やしてしまった。また、学校にカメラを置く際に保護者の同意などが必要で、学校との交渉に時間を要してしまい、学校にカメラを設置し、実際のデータ収集を始めたのが2021年12月前半になってしまったことが原因に挙げられる。更に、カメラの故障やネットワークへのアクセス障害などの対応に時間を取られてしまったことも計画の遅れの原因に挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の具体的な4つのテーマに関して引き続き研究を進める予定である。特に、(2) 体温に対する感染の流行度合いを表す関数の定義、(3) シミュレーションで用いるモデルの構築を中心に研究を行う。(2)に関しては、狭域で測定された体温の分布と全国、又は、山口県などの広域で発症した新型コロナの数との相関解析を行い、各学校で測定した体温の分布が適用できる範囲の見極めを行う。 (3)に関しては、引き続きパーコレーションモデルが各学校の欠席者の人数の分布に合うようにパラメータの調整を行う。また、人をランダムに動かして感染状況を再現する粒子モデルも作成し、パーコレーションモデルと粒子モデルの比較検討を行う。更に、項目(2)と(3)の結果から現在の体温と欠席者数から将来の欠席者の分布を予測するシステムの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により、学会がオンラインになり、学会参加のための旅費の支出がなかったために、次年度使用額が0よりも大きくなってしまった。尚、令和4年度支払請求書の提出漏れがあり、5月25日(水)に提出しました。
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