研究課題
本研究では、eye-tracking技術を用いて熟練度の異なる実習者から視線の軌跡を記録し、これらの関係性を明らかにするのが目的である。視線の軌跡をどのように解析するかについては、まだ確立された決まった方法が存在しないために、まずは解析方法自体を検討する必要がある。これらの技術論の開発と検証を看護(基礎看護・母性看護・高齢者看護)にて行い、他分野への展開を見込んだ汎用的な方法論開発を行う。これまでに基礎看護で実施してきた内容を踏まえ、母性看護と高齢者看護の試験を設計した。どちらもシミュレータを使い、それぞれ実習のシナリオを与え、参加者の視線を採取した。また、視線の解析は視線が止まる位置(AOI)をネットワークで可視化することで、単純にAOIに使用する時間の情報も比較できるようにした。小児看護では経験年数が大きく異なる合計20名の看護師が参加した。同様の解析の結果、新人の方が比較的個人差が少なく、熟練者は数パターンに大きく分類されていく傾向が見られた。高齢者看護においてはおむつ交換の課題を実施した。老年介護では10名の看護教員と13名の看護学生が参加した。顔の移動が多く、作業時間も長いため、先の2件と同じアプローチでは情報量が大きくなりすぎるため、おむつ装着前の位置確認に絞って解析した。新人と比べて熟練者の方が確認に要した時間は短いものの、おむつ、お尻、脚をバランスよく視線を移し、位置確認をしていることが可視化できた。一定の成果を得たものの、より汎用的にはネットワークの違いを、その構造まで含めて客観的に評価できる方法が必要である。
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Healthcare
巻: 10 ページ: 2131~2131
10.3390/healthcare10112131