研究課題/領域番号 |
21K19683
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
盛武 敬 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 上席研究員 (50450432)
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研究分担者 |
孫 略 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40757704)
鈴木 正敏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (60515823)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 晩期障害 / 慢性被ばく / 低線量被ばく / 低線量率被ばく / 血液抗酸化能 |
研究実績の概要 |
放射線晩発障害の発症リスクを被ばく後の早期に予測できれば、予防的介入(治療)も可能となり、晩発障害の発症を抑えることが可能となるが、晩発障害のほとんどの疾患は酸化ストレス(活性酸素種(ROS)の増加や抗酸化能の低下によって引き起こされる状態のこと)との関連が明らかになっている。本研究では、抗酸化能を指標とした晩発障害リスク予測の妥当性を明らかにすることを目的としている。初年度の研究実績については、 ①低線量低線量率照射装置を用いてマウスに慢性照射(33 μGy/min~12.5 mGy/hr; 1~60日間;総線量0.1~5 Gy)を行い、照射後からマウスが死亡するまで経時的に採血し、抗酸化能関連指標(血液抗酸化能(i-STrap法による測定)、グルタチオン量など)や酸化ストレスの原因となる慢性炎症関連サイトカイン(IL-6、TNF、IL-1β、MCP-1など)の測定を行うことを目標にしており、現在マウス飼育室と照射の準備を完了し、順次購入されたマウスに照射を行い飼育観察を続けている。 ②福島県で害獣として処分された野生ニホンザルから採血し、抗酸化能関連指標(血液抗酸化能、グルタチオン量など)や酸化ストレスの原因となる慢性炎症関連サイトカイン(IL-6、TNF、IL-1β、MCP-1など)の解析を行い、生息地や体内の放射線量からサルの被ばく線量を割り出し、各指標と被ばく線量、年齢、性別などの関係を明らかにすることを目標にしており、現在冬場に捕獲された野生ニホンザルからの血液のストックを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験者のSPFマウス飼育施設への登録手続きや飼育方法トレーニングなどに3ヶ月以上の時間を要した。また、動物実験審査にも承諾を得るまで3ヶ月を要したため、およそ初年度はこれらの研究開始のための準備に費やされる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は予定されるマウスの飼育と照射実験を実施し、手順に従って血液試料をストックする。また、全血血液抗酸化能測定の技術の整備を行い、試料の移動を極力避ける実験態勢の整備に努める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はマウス飼育施設への入室手続き、教育訓練、動物実験倫理申請等の準備に費やされ、物品類を急ぎ購入する必要が無かった。それでも年度末にいくらかの必要物品が生じたが、納期の観点から年度末の駆け込み購入を避け、次年度の購入へ繰り越したため。
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