研究課題/領域番号 |
21K19687
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
宇良 千秋 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60415495)
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研究分担者 |
岡村 毅 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (10463845)
山下 真里 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80848424)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 認知機能低下 / ピアサポート / 社会的孤立 / 電話 |
研究実績の概要 |
2023年度は、これまで収集したデータを再分析し、日本認知症ケア学会とIPA International Congressで発表した。以下はその要約である。「感染症拡大時においては、認知機能低下と共に地域で暮らす人の社会的孤立が助長される。電話はそのような社会的孤立を防ぐツールのひとつであろう。本研究では、電話による定期的な交流が認知機能低下と共に都市で暮らす高齢者にどのような影響をもたらすかについて検討した。都内A区で囲碁教室の受講者募集説明会に参加した高齢者17名(男性4名、女性13名)でペアを作り、3か月間の教室期間中に、囲碁の課題や囲碁以外の関心事について週に1回の頻度で電話で話す機会を設定した。教室終了時に電話交流の評価についての自記式アンケートと半構造化面接を実施した。対象者の平均年齢は80.1±5.5歳、軽度認知障害をスクリーニングするMoCA-Jの平均得点は21.3±3.1点で16名がカットオフ値25点以下であった。アンケートについて「そう思う」または「どちらかというとそう思う」に回答した割合は、電話による交流が「楽しかった(94.1%)」、「良い効果があった(88.2%)」、「今後も時々電話で話したい(76.5%)」であった。半構造化面接では、「電話が待ち遠しかった」、「囲碁が楽しくなった」、「囲碁が共通の話題で話しやすかった」、「囲碁以外の話もした」、「一緒に出かけたい」などの言説がある一方、「話す話題に気を使った」、「距離感が難しかった」という言説もみられた。電話による交流は認知機能障害をもつ高齢者の社会的孤立を防ぐ有効なツールである可能性が示唆された。平時から身近な地域や共通の目的を持った集団に電話での交流を促進することによって、住民同士の支援関係が構築され、認知症共生社会の実現につながると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精力的に論文発表(英文雑誌)、学会発表(国内、国外)を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、電話ピアサポートを取り入れた共生社会構築の実践例の観察研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
あらたに観察研究の対象となる協力者が見つかったので、2024年度に使用を持ち越した。次年度は学会発表のための旅費や観察研究の対象者への謝礼、インタビューの反訳、データ入力業務などで研究費を使用する予定である。
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