研究課題
肥満にサルコペニア(骨格筋量減少+筋力低下)を随伴したサルコペニア肥満は生命予後が不良であるため,肥満者における骨格筋の維持は重要な課題である.本研究では,過食肥満を基盤に,脂肪化を伴う筋萎縮を生じる全身性p62遺伝子欠失 (p62-KO) マウスをベースに,代表者らが新たに作製した筋細胞にのみp62を発現するp62-筋レスキューマウスを用いて,肥満関連性サルコペニアの抑止における筋p62の機能を検証した.高脂肪食の摂餌による高度肥満の誘導下で,p62-筋レスキューマウスでは,p62-KOマウスと比較して,骨格筋重量と筋力が高値であった.また,筋線維横断面積も有意に高値であり,p62は肥満の病態下で,骨格筋量と筋力の維持に寄与することが明らかになった.また,p62-筋レスキューマウスでは,肥満誘導性の耐糖能異常・インスリン抵抗性が改善していた.p62-筋レスキューマウスの筋組織では,AKT-mTORシグナルが亢進しており,これらのシグナルの変化がp62による骨格筋の維持やインスリン抵抗性の改善に関与していることが示唆された.本研究では,肥満誘導性の骨格筋の劣化に対して筋p62が防御的に機能していることを初めて明らかにした.本研究の結果は,肥満者の骨格筋量と機能をマネジメントする上でp62が重要な分子標的となり得ることを示唆している.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)
Frontiers in Physiology
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