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2023 年度 実施状況報告書

脳に内在するアンチフレイル機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K19700
研究機関群馬大学

研究代表者

大西 浩史  群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (70334125)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
キーワード老化 / ミクログリア / 脳 / 運動学習
研究実績の概要

若齢の時期にもかかわらずミクログリアが細胞老化表現型を示す受容体型分子SIRPαのミクログリア特異的遺伝子欠損マウス(ミクログリア老化マウス)について、複雑ランニングホイール自動計測系による行動解析の結果を、正常マウスの加齢変化解析の結果と比較した。その結果、ミクログリア老化マウスのパフォーマンスは、正常マウスの老化後と似通った特徴があることがわかった。このことから、マウスにおいて、加齢による協調運動能の障害は、白質におけるミクログリアの老化が原因の一つとなる可能性が考えられた。また一方で、正常マウスにおいて白質が未熟な若齢期においては、協調運動能が成獣に比べて低い傾向が見られることから、ミクログリア老化マウスの複雑ランニングホイールの成績は、白質が未熟な状態を示している可能性もあると考えられた。
ミクログリア老化マウスの白質を詳細に解析し、白質の中でも、ミクログリアの老化様活性化が顕著な領域を特定できた。これらの特定領域はミクログリアの細胞老化が特に進行し易い環境にある可能性が考えられた。ミクログリア老化マウスにおいて、これらの特定領域をさらに解析した結果、オリゴデンドロサイト前駆細胞の状態等には変化は見られなかったが、アストロサイトの顕著な活性化亢進が確認された。現在実際の老化マウス白質との類似性を確認中であるが、ミクログリアの細胞老化が白質老化を制御する主要な細胞である可能性が示されつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

複雑ランニングホイール装置による解析で、ミクログリア老化マウスモデルの特徴的な表現型(老化した正常マウスと類似したフレイル様の行動変容)が確認できた点は、ミクログリアが脳フレイルを制御する重要な細胞であることを示す証拠が集まりつつあると考えら得たが、研究遂行に想定以上の時間を要していることから、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

特定したミクログリアの老化様活性化が顕著な白質領域を中心に、正常老化マウスの脳組織においてフレイル様表現型の特定に取り組む。また、引き続き老化白質の遺伝子発現解析データのプロファイリング解析を継続し、白質フレイルのマーカー分子候補を同定する。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子改変マウスの飼育・交配において、想定外の繁殖効率の低下や、老化マウスの維持管理において、予定外の早期死亡などのため、解析が次年度に繰り越す必要が生じた。次年度使用額は、消耗品、動物飼育費、人件費などに使用予定。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ワイツマン科学研究所(イスラエル)

    • 国名
      イスラエル
    • 外国機関名
      ワイツマン科学研究所
  • [国際共同研究] ウメア大学(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      ウメア大学
  • [学会発表] Area-specific emergence of CD11c-positive microglia in the brain of SIRPα knockout mice2024

    • 著者名/発表者名
      Etsumi Oike, Rui Mizutani, Shunya Hanzawa, Eriko Urano, Eiko Matsumoto, Yuriko Hayashi, Hiroshi Ohnishi
    • 学会等名
      The 5th Japan-Taiwan Bilateral Conference on Protein Phosphatase
    • 国際学会
  • [学会発表] 貪食チェックポイントSIRPαの欠損によるCD11c陽性ミクログリア出現の領域特異性解析2023

    • 著者名/発表者名
      尾池恵摘、水谷瑠依、今井武史、榛澤春哉、堀鮎香、浦野江里子、松本映子、神宮大輝、林由里子、的崎尚、大西浩史
    • 学会等名
      第64回日本神経病理学会総会学術研究会 第66回日本神経化学会大会 合同大会
  • [学会発表] 脳保護作用が期待されるSIRPα欠損ミクログリアの細胞特性の解析2023

    • 著者名/発表者名
      水谷 瑠依、尾池恵摘、榛澤春哉、今井 武史、富山飛鳥、浦野江里子、松本映子、林 由里子、的崎 尚、大西 浩史
    • 学会等名
      第64回日本神経病理学会総会学術研究会 第66回日本神経化学会大会 合同大会
  • [学会発表] 造血器腫瘍と自己免疫疾患における貪食チェックポイント遺伝子多型の解析2023

    • 著者名/発表者名
      堀 鮎香、後藤七海、齋藤貴之、大西浩史
    • 学会等名
      第21回生体機能研究会
  • [学会発表] 造血器腫瘍および免疫性血小板減少性紫斑病における貪食チェックポイント分子SIRPαの遺伝子多型の解析2023

    • 著者名/発表者名
      堀鮎香、後藤七海、齋藤貴之、大西浩史
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 膜型分子SIRPαによる保護的ミクログリア活性化制御2023

    • 著者名/発表者名
      水谷瑠依、尾池恵摘、榛澤春哉、今井武史、浦野江里子、松本映子、林由里子、大西浩史
    • 学会等名
      第70回北関東医学会
  • [学会発表] SIRPα欠損ミクログリアの遺伝子発現プロファイル解析2023

    • 著者名/発表者名
      榛澤春哉、水谷瑠依、尾池恵摘、今井武史、浦野江里子、松本映子、林由里子、大西浩史
    • 学会等名
      第70回北関東医学会
  • [学会発表] SIRPα欠損によるCD11c陽性ミクログリア出現領域の解析2023

    • 著者名/発表者名
      尾池恵摘、水谷瑠依、榛澤春哉、今井武史、浦野江里子、松本映子、林由里子、大西浩史
    • 学会等名
      第70回北関東医学会
  • [学会発表] ミクログリア活性化チェックポイントSIRPα欠損による遺伝子発現変化の解析2023

    • 著者名/発表者名
      榛澤春哉, 水谷瑠依, 尾池恵摘, 今井武史, 浦野江里子, 松本映子, 神宮大輝, 林由里子, 的崎尚, 大西浩史
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [備考] 群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学講座大西研究室

    • URL

      https://biosignal.dept.med.gunma-u.ac.jp/

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公開日: 2024-12-25  

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