研究課題/領域番号 |
21K19709
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒木 裕士 京都大学, 医学研究科, 教授 (20170110)
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研究分担者 |
谷間 桃子 (長井) 京都大学, 医学研究科, 助教 (50755676)
伊藤 明良 京都大学, 医学研究科, 助教 (50762134)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 末梢神経 / 再生医療 / 神経導管 / 超音波療法 |
研究実績の概要 |
末梢神経欠損の再生医療では培養細胞を欠損部位に移植する時代が到来している。この再生医療とリハビリテーションとの融合が極めて重要であることから、本研究課題では、細胞で作った神経導管の移植前後のリハビリテーションの有効性を、坐骨神経欠損モデル動物で検証することを目的とした。 本課題の核心は、神経導管の細胞生存率と、リハビリテーションとしての超音波刺激の有効性の2点である。 前者については、バイオ3Dプリンタを用い、アルギン酸とナノセルロースを含有したバイオインクで造形した人工神経導管では培養3時間後、1日後、および7日後の細胞生存率がすべておよそ100%の生存性であること、および、これに対し生体組織に近いゼラチンメタクリレートで作成した人工神経導管では培養3日後までは細胞生存率が減少し50%程度となるが、その後は回復傾向が認められることを既に確認している。ただ本課題で取組んでいる、生体組織に近いゼラチンメタクリレートの導管では、アルギン酸とナノセルロースを含有したバイオインクで造形した導管と比較すると細胞生存率が劣っている。 そこでこの細胞生存率を向上させる方法はないか、あるいはこの生存率で移植できるのか、さらなる検討が必要であることから、2021年度は後者の超音波刺激の有効性の研究を優先して実施した。また坐骨神経欠損モデルではなく坐骨神経挫滅モデルにおいて、同刺激の有効性を、①組織学的評価、②遺伝子発現解析・免疫組織化学的評価、および③動物の3次元動作解析において検証した。その結果、超音波刺激は末梢神経再生を促進し早期の運動機能回復を導き、有効性があることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゼラチンメタクリレートを用いた神経導管作成において、細胞生存率を向上させる方法はないか、あるいはこの生存率で移植できるのか、さらなる検討が必要であることから予想以上に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度中には、ゼラチンメタクリレートを用いた神経導管作成の検討を終え、同導管を移植するか否か、別の方法にするのか等を模索して決定する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属部局が定めた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する対応」に従ったことから「旅費」をまったく使用しなかったうえ、前述のようにゼラチンメタクリレートを用いた神経導管作成において、さらなる検討が必要で時間を要しており、消耗品費などの「物品費」の執行が遅れたことから、次年度使用額が生じている。 COVID-19の状況が改善すれば「旅費」を執行する。また神経導管作成等に関連する諸々の「物品費」を執行する予定である。
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