研究課題
ラットの末梢神経損傷(PNI)モデルにおいて、損傷部位よりも近位部の後根神経節 (DRG) におけるニューロンに対する非侵襲的磁気刺激(MS)の影響を検証した。末梢神経損傷(PNI)は当該する感覚・運動機能障害が生じる。重度PNIでは脊髄前角や後根神経節(DRG)におけるニューロン細胞死が生じることにより、神経再生に影響を及ぼす。そのため細胞死を抑制することができれば、神経再生と機能回復を促進できる可能性がある。これまで侵襲的な電気刺激による脊髄ニューロン細胞死抑制効果が報告されているが、本研究ではこれをさらに発展させ、非侵襲的磁気刺激(MS)がPNI後の細胞死と再生に与える影響について検討した。ラットをMS群、対照(CON)群と無損傷群に無作為に分けた。MS群やCON群に対し、坐骨神経に8 ㎜の欠損を作成したのちに再接合する自家神経移植モデルを作製した。術後翌日よりMS群の腰髄にMS治療を毎日実施した。損傷1週及び4週後、同側脊髄とDRGを採取して染色にて脊髄前角とDRGニューロン細胞数をカウントした。また、DRGの遺伝子発現解析(Bax:細胞死を促進する遺伝子、Bcl-2:Baxの活性を抑制する遺伝子)を実施した。その結果、損傷後1週において、無損傷群と比較してCON群で細胞数が減少し、その変化は4週後まで継続した。すべての時点で前角細胞数はMS群とCON群の間に有意差は認められなかったが、DRG細胞数はMS群で有意に高かった。損傷後1週において、BaxのmRNAはMS群と比較してCON群で有意に高かった。損傷後4週において、BaxとBcl-2のmRNAはCON群と比較してMS群で有意に高かった。これらの結果は、細胞死が生じる損傷後1週までにMSがBaxのmRNA発現を抑制することによりDRGニューロン細胞死を防止する可能性を示唆している。
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