研究課題/領域番号 |
21K19717
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松島 雄一 九州大学, 医学研究院, 助教 (20571342)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / タンパク質凝集体 / 凝集体 |
研究実績の概要 |
生体内で生じるタンパク質凝集は、誤って折り畳まれたタンパク質が細胞内または細胞外で不溶化し高密度の集合体(=凝集体)を形成する現象であり、近年このタンパク質凝集と疾病や老化との関係性に注目が集まっている。ミトコンドリアにおいても電子顕微鏡を用いた組織切片の解析により、老化や疾病に伴い脳や骨格筋の一部のミトコンドリア内部(マトリクス)に凝集体が観察される。しかし、ミトコンドリアマトリクスに生じる凝集体の効率の良い検出法やミトコンドリアマトリクスの凝集体解析に用いる簡便なモデル実験系が存在しないため、この凝集体がミトコンドリアに与える影響については不明である。本研究はミトコンドリアマトリクスに生じる凝集体解析の足がかりとして、ミトコンドリアマトリクスに生じる凝集体解析モデルの構築及びこの凝集体を検出する方法の開発を目的とする。 本年度はミトコンドリア内部にタンパク質凝集体を生じる凝集体検出法の開発および凝集体解析モデルの構築とその評価を行った。CODAS (脳・眼・歯・耳介・骨格)症候群の原因遺伝子であるミトコンドリアマトリクス局在プロテアーゼLONP1の機能が低下した患者細胞では、ミトコンドリアマトリクスにタンパク質凝集体が形成されることが知られている。そこで以下に示す2つの方法でミトコンドリアマトリクス凝集体モデルを作成した。 (i)培養細胞に対 しsiRNAを用いたノックダウン法によってLONP1の機能を低下させると、ミトコンドリア内にタンパク質凝集体が形成されることを確認した。 (ii)LONP1は6量体構造をとりATPの加水分解のエネルギーを利用し機能している。そこで、培養細胞を用いて薬剤誘導プロモーター下でATPase活性変異型LONP1を発現させドミナントネガティブ法でLONP1の機能を低下させと、ミトコンドリア内にタンパク質凝集体が形成されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、本研究の基盤となる実験材料の樹立や実験方法の確立を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで樹立したタンパク質凝集モデルに加え、異なるメカニズムでタンパク質凝集体を生じるモデルの構築を行う予定である。その後に、ミトコンドリアマトリクスに生じる凝集体検出法の開発 ①凝集体検出試薬のスクリーニング及び②凝集体検出試薬候補の検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
他のプロジェクトによって進められていた研究が、本研究の基盤となる実験材料の樹立に適用できることが判明したため。
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