研究課題/領域番号 |
21K19718
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安 ち 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70747873)
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研究分担者 |
北原 エリ子 順天堂大学, 保健医療学部, 講師 (00424242)
島津 智一 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (10322413)
下田 真吾 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20415186)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 筋シナジー |
研究実績の概要 |
パーキンソン病になると脳の変性が起こり、神経伝達物質のドパミンが欠乏し、運動が過度に抑制されてしまい、すくみ足などの異常運動が発現してしまう。病初期では服薬により症状が改善するものの、病気が進行すると薬が効かない時間が長くなったり、過度な投薬によってジスキネジアと呼ばれる不随運動が生じることがある。また症状にも日内変動があり、日中に身体が動きにくくなる状態になると転倒の危険があるため、事前に症状の変化を予期することが重要である。 2023年度では新たに歩行動作の解析を実施した。2022年度までに計測したパーキンソン病患者の投薬前後のUPDRS中に計測された歩行動作を対象に、筋シナジーの抽出やセンサーシューズによって計測された床反力成分の関係性を調査した。 その結果として、パーキンソン病患者の歩行動作において投薬前後で歩行周期の時間は変わらないものの、ストライド長が増加することが分かった。センサーシューズによって計測された床反力の鉛直成分については投薬前は単峰性のピークしか見られないものの、投薬後には二峰性のピークが見られ、健常者に近づくことが分かった。またモーションキャプチャによって計測された歩行中の踵の位置座標から接地タイミングを同定し、歩行周期ごとに正規化された筋活動から筋シナジーの算出を行った。筋シナジーの活動を調べると遊脚相では投薬前後において変化は少ないものの、立脚期において筋シナジーの活動が変化することが新たに分かった。この結果から今後はセンサシューズのデータから患者の状態を推定する手法の開発を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では歩行動作中の筋シナジーの活動をセンサシューズから推定する手法の開発を目指している。本年度は投薬前後における筋シナジーの変化を調べることができ、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降では、センサーシューズによって計測されたデータから歩行動作中の筋シナジーの活動を推定するアルゴリズムの開発を行う。今年度までに明らかになった筋シナジーの特徴を精度よく推定することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行のため計測実験が行えない時期があり、次年度使用額が生じた。次年度は学会発表や論文投稿において支出を予定している。
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