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2021 年度 実施状況報告書

内臓感覚能に対する身体運動の効果とその分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K19729
研究機関大阪府立大学

研究代表者

宮井 和政  大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (60283933)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード内臓感覚 / 排泄器官 / 内因性カンナビノイド / アデノシン三リン酸
研究実績の概要

加齢やストレスによって生じる排泄器官の内臓感覚の異常(尿意・便意の異常や内臓痛)を改善することは、QOLの向上や健康寿命の延伸のために必要不可欠である。排泄器官の内臓感覚は、排泄物の貯留により伸展した膀胱や直腸の上皮から分泌されるATPが内臓感覚神経を興奮させることで生じる。内因性カンナビノイドは特に膀胱の内臓感覚神経の興奮性を減弱させることが知られているが、膀胱や直腸のATP分泌に対する作用は不明である。そこで本研究では、膀胱および直腸上皮からのATP分泌における内因性カンナビノイド(主にアナンダミド;AEAと2-アラキドノイルグリセロール;2-AG)の作用と、内因性カンナビノイドの産生を促進する身体運動がATP分泌に与える作用を検討することを目的とした。
2021年度の本研究では、内因性カンナビノイド受容体CB1とCB2、および内因性カンナビノイド代謝酵素である脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)とモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)の4種の阻害薬が、生理的伸展刺激に応じた膀胱・直腸上皮からのATP分泌に与える影響を検討した。その結果、膀胱上皮からのATP分泌に対する有意な効果は認められなかったものの、直腸上皮からのATP分泌については、CB1およびCB2の阻害薬によって増加し、FAAH阻害薬によって減少する可能性を見出した。FAAHは内因性カンナビノイドのなかでも2-AGを代謝する酵素であることから、生理的伸展刺激に応じた直腸からのATP分泌については、2-AGがその受容体CB1とCB2を介して抑制していることが示唆された。内因性カンナビノイドは、生理的刺激に応じた直腸の内臓感覚過敏を抑制できる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、生理的伸展刺激に応じた膀胱および直腸からのATP分泌に対する内因性カンナビノイド経路の作用の解析を遂行でき、特に直腸において内因性カンナビノイド経路がATP分泌抑制作用を有する可能性を見出せたことから、おおむね順調に進展していると評価している。

今後の研究の推進方策

生理的伸展刺激に応じたATP分泌に対する内因性カンナビノイド経路の作用を明らかにできたことから、今後は大腸菌由来リポ多糖による病的炎症性刺激に応じたATP分泌に対する作用を検討する。生理的伸展刺激条件では、膀胱に対する作用が認められなかったが、病的刺激では異なる経路でATPが分泌されることから、内因性カンナビノイド経路は膀胱においても病的刺激による内臓感覚過敏を調節する可能性はある。病的刺激条件での解析を終えたのち、効果の認められた臓器に焦点を当て、身体運動負荷が各種刺激に応じたATP分泌に与える作用を検討する。身体運動負荷はトレッドミル装置で与え、運動強度は内因性カンナビノイド産生に特に効果が認められている中程度強度とする。

次年度使用額が生じた理由

当初予定より実験動物の使用数が減少したことにより、若干の次年度使用額が発生した。この次年度使用額は2022年度の実験動物購入費用に充てる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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