研究課題/領域番号 |
21K19731
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072)
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研究分担者 |
上月 正博 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70234698)
森 建文 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
森本 哲司 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10344657)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 運動 / 腎臓 / 交感神経 / 細胞・組織 |
研究実績の概要 |
常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease; ADPKD)は、加齢に伴い腎嚢胞が増大、進行性に腎機能が低下、70歳までに約半数が末期腎不全に至る指定難病である。研究代表者らは各種腎疾患モデルラットを用いて長期的運動の腎保護効果とその機序に関する研究をこれまで行ってきた。ADPKDモデルであるpolycystic kidney (PCK)ラットを用いて運動の効果を検討したところ、長期的運動が嚢胞増大を抑制することを世界で初めて明らかにしたが、その機序の詳細はまだ明らかでない。そこで、長期的運動の嚢胞増大抑制効果の機序と推測されるマイオカインであるirisinの関与を検証した。6週齢の雄PCKラットをコントロール群、運動群に分け、運動群では有酸素運動レベルのトレッドミル運動(28m/分、60分、5回/週)を12週間施行した。長期的運動は血漿irisin濃度を約1.5倍に増加、尿蛋白を減少、腎および肝嚢胞の増大を抑制した。さらに長期的運動の嚢胞増大抑制効果におけるirisinの関与を検証するために、運動と同様に血漿irisin増加作用が報告されている植物フラボノイドであるdihydromyricetin (100mg/kg体重/日)を12週間飲水投与した。12週間のdihydromyricetin投与は血漿irisin濃度を約1.9倍に増加させたが、尿蛋白や腎・肝嚢胞の増大には影響しなかった。以上の結果から、PCKラットにおいて長期的運動は血漿irisin濃度を増加させ、尿蛋白や腎・肝嚢胞増大を抑制するが、この血漿irisin濃度増加は尿蛋白や腎・肝嚢胞増大抑制には関与しないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つである運動療法による多発性嚢胞腎の進行抑制効果におけるマイオカインの関与について研究したところ、PCKラットにおいて長期的運動は血漿irisin濃度を増加させるが、この血漿irisin増加は尿蛋白や腎・肝嚢胞増大抑制には関与せず、運動療法による多発性嚢胞腎の進行抑制効果には血漿irisin増加以外の機序が関与していることを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度には、運動療法による多発性嚢胞腎の進行抑制効果におけるα2-アドレナリン受容体を介した交感神経系の関与やその機序について明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度使用額が、今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額である。 (使用計画) 令和4年度請求額とあわせ、運動療法の嚢胞増大抑制効果の機序と推測されるα2-アドレナリン受容体を介した交感神経の関与を明らかにするために使用する予定である。
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