研究実績の概要 |
本研究は3年計画であり、初年度に慶應義塾大学日吉キャンパス藤原洋記念ホール(現地会場)および湘南藤沢キャンパスシータ館(遠隔会場)にて、プロシンガーソングライターによるアコースティック弾き語りライヴ音楽演奏実験を実施し、ライヴ中のアーティストと鑑賞者の心拍データ、鑑賞者の主観的感動度を記録した。2年目では、ライヴ中の現地・遠隔会場それぞれの鑑賞者の心拍データの時間的同調性を解析し、アーティストの心拍データと、鑑賞者の心拍データ及び主観的感動度の時間的同調性についても解析を実施した。最終年度となる3年目では、2年目までに得られた研究成果を2023年8月に東京で開催された第17回国際音楽認知学会・第7回アジア太平洋音楽認知学会(17th International Conference on Music Perception and Cognition: ICMPC17, 7th Conference of Asia-Pacific Society for the Cognitive Sciences of Music: APSCOM7)にて口頭発表を実施した。加えて3年目では、観測された鑑賞者の心拍データの時系列変化が、集団でライヴ鑑賞した際に特異的に観測される現象なのか、それとも、個人で音楽鑑賞した際にも一般的に観測され得る現象なのか、という点について明らかにするために、ライヴの録画を個人で聴取する条件について追加実験を実施した。音量については本番と同様に揃えた防音室を設け、参加者は単独でライヴ視聴を行った。実験の実施後、ライブ現地会場聴取条件、遠隔会場聴取条件、個人聴取条件ごとに演奏者と聴衆の心拍同期に影響を与えうる要因を組み込んだ統計モデルを作成した。
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