研究課題/領域番号 |
21K19736
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
黒澤 裕子 東京医科大学, 医学部, 講師 (90623108)
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研究分担者 |
大黒 多希子 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 教授 (30767249)
浜岡 隆文 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70266518)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | クレアチン / 健康寿命 |
研究実績の概要 |
【研究目的】現時点では、老化を引き起こす分子機構の全容は明らかにはなっていないものの、慢性的軽度炎症が細胞老化、ひいては個体老化を引き起こしている可能性が指摘されており、炎症反応の抑制が老化の抑止へのカギとも考えられている。クレアチンは、骨格筋での即時的エネルギー供給源としての機能のほか、骨格筋肥大や骨密度増加を惹起することが明らかになっており、ヒトフレイルの予防効果が期待できる。さらにまた、クレアチンは、中枢神経系における神経伝達物質の放出や膜電位維持など、脳の恒常性維持に必須の役割を担っていることが明らかとなっており、クレアチンを標的とした介入は、老化に伴う認知機能低下の抑制につながる可能性が高い。クレアチンは、さらに、炎症やアレルギー反応を引き起こすTh1/ Th2不均衡の調整作用を有するというデータも報告されており、クレアチンによる炎症抑制を介した細胞老化の抑制、ひいては個体老化の抑制効果も期待できる。そこで、本研究では、新たな試みとして、「クレアチンがマウス老化に伴う機能不全を抑制しうるか、健康寿命を延伸させうるか」検証することを目的として、研究を実施している。
【研究実施計画】当初の計画では、対象動物として、脳萎縮を伴う学習・記憶障害ヒト老化促進モデルマウス(SAMP10、日本SLC㈱)を用いる予定であった。しかしながら、SAMP10マウスの老化促進原因遺伝子の全容はいまだ明らかとなっておらず、大部分が未解明のままという現状がある。このため、本研究では、計画を変更し、遺伝子変異部位が明確な”クレアチン遺伝子改変マウス(クレアチン欠損マウス)”および対照マウスを対象に、老化に伴う①体組成変化、②認知機能変化、③フレイル指標変化、④寿命について評価することで、クレアチンの生体機能を介した健康寿命延伸効果について、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者のケガ・疾病による入院・リハビリテーションにより、計画に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
【今後の研究の推進方策】当初の計画では、対象動物として、脳萎縮を伴う学習・記憶障害ヒト老化促進モデルマウス(SAMP10)を用いる予定であった。しかしながら、これまでに報告されているSAMP10関連論文および報告書を精査したところ、老化促進原因遺伝子の全容はいまだ明らかとなっておらず、大部分が未解明のままであることが判明した。原因遺伝子が明らかでないと、当該マウスに表出した表現型が、遺伝子変異に由来するものなのか、もしくは介入効果によるものなのか、正確に判定することは難しい。そこで、研究途中ではあるものの、当初の研究計画を変更し、遺伝子変異部位が明確な”クレアチン遺伝子改変マウス(クレアチン欠損マウス)”および対照マウスを対象とし、生体においてクレアチンが欠損した状態、および健常な状態で比較を行うことで、寿命(健康寿命)に果たすクレアチンの効果を検証することにシフトした。評価項目は、老化に伴う①体組成変化、②認知機能変化、③フレイル指標変化、④寿命とし、当該マウスのコロニーを確立した現在、測定を続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者のケガ・疾病による入院およびリハビリテーションにより、研究計画に遅れが生じたため、次年度使用額が発生した。次年度の計画として、既にコロニーを確立している”クレアチン遺伝子改変マウス”および対照マウスを対象とし、老化に伴う①体組成変化、②認知機能変化、③フレイル指標変化、④寿命の評価を行う。
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