食品摂取でエピジェネティックな変化をみいだしたら、そのことが、人工的に朝型―夜型を作成する道筋になるので、身近な食品群で試した。このことは本質的な問題である夜行性や昼行性を一時的に移行させる手段を見出すことにつながる。実際、明暗環境の履歴効果を指標とした解析では、短周期の明暗環境や長周期の明暗環境は行動のフリーラン周期影響するものの、全く一過性の現象でしか見いだせなかった。いくつか試した条件では、カフェインの飲水投与がうまくいった。カフェインを投与すると中枢・末梢のいずれの体内時計も一過性のリセット効果を示すことを、報告しているが、これが、マウスを夜行性から昼行性へ移行させる手段になるか否かは不明であった。今回、甘味料を加え、カフェインの摂取を増大させる工夫により、明らかな昼行性マウスを始めて作成することに成功した。そこで、明暗リズムをコントロールしているであろう、視交叉上核を破壊したマウスで、同様の実験を行ったところ、この場合の行動リズムはフリーランして長周期のリズムが形成された。すなわち、明暗周期下では、明暗リズムとの相互作用の関係で昼行性のマウスを作成できるが、明暗リズムが入らない条件では、カフェインの作用のみが強調されることが分かった。人の社会を考えると、明暗周期下で生活しているので、遅い時間帯に大量のカフェイン飲料を摂取する習慣がある人は、見かけ上は夜行性のような生活リズムが出現する可能性が示唆された。食事時間がばらつくと先のカフェイン摂取のような状態になるか可能性があるので、食事時刻のばらつきと、朝型ー夜型などの関係性を調べた。その結果、朝食ではなく夕食の摂取時刻のばらつきが、夜型に関連していることが分かった。食事パターンや食事内容と朝型・夜型を調べることにより、カフェインをはじめとする食と体内時計(朝型・夜型)の関係が明らかになるであろう。
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