研究課題/領域番号 |
21K19744
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
福谷 充輝 立命館大学, スポーツ健康科学部, 講師 (80722644)
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研究分担者 |
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | ミオシン / アクチン / クロスブリッジ / サルコメア |
研究実績の概要 |
本年度は、単一の筋線維を対象に、サルコメア長を可視化する実験系確立に取り組んだ。位相差顕微鏡に、3Dプリンタで作成した実験チャンバーを設置し、このチャンバー上に筋力計とモーターを設置した。この状況下で、サルコメア長が可視化出来るように倍率を上げて位相差観察を行った結果、分析に耐えうるサルコメア長計測を、安静時、および収縮時に行うことが出来た。実験も想定以上に進み、安静時、収縮時(通常の等尺性収縮時、および伸長性収縮後の等尺性収縮時)のサルコメア長分布を計測する事ができた。結果として、サルコメア長は均一ではなくばらつきが確認され、そのばらつきのパターンは、従来の推測に基づいて提唱されていたものとは異なった。具体的には、伸張性収縮後の等尺性収縮時に観察される大きな筋力発揮は、伸張性収縮によるサルコメア長の不均衡増大が原因と推測されていたが、実測結果はそうではなく、サルコメア長の不均衡の程度は、通常の等尺性収縮時でも、伸張性収縮後の等尺性収縮時でも同様であった。これは、上記力学現象が、サルコメア長の不均衡では説明できないことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
スムーズに、サルコメア長を可視化することが出来たため、実験系確立のために想定していた準備期間が短くなり、実験実施、さらにはその結果を学会発表に向けてまとめることも出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、より高精度の観察をするため、より性能の良い対物レンズの購入を検討している。ただし、その場合はレンズから観察対象までの距離が極めて短くなってしまうため、本実験系の実験サンプルや測定機器を限られた空間内に配置出来るかどうかを検討する必要がある。この機器改善の検討に加えて、多様な状況下で、2021年度と同様の測定を行っていく。具体的には、"サルコメア長の不均衡が関連する" と言われており、かつ、"実際にサルコメア長が観察されたわけではない"、という現象を対象に、サルコメア長を実測することによって検討を加えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の英文校正が2021年度中に間に合わず、2022年度に執行することになったため。
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