研究課題/領域番号 |
21K19748
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
伊藤 しげみ 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (80600006)
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研究分担者 |
田沼 延公 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 上席主任研究員 (40333645)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 食事 / 栄養 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
近年のがん免疫療法の発展は目覚ましいが、耐性症例の多さなど、課題も多い。申請者らは最近、あるビタミンの摂取制限に「腫瘍免疫を賦活する作用」があることを、思いがけず発見した。本研究では、その分子メカニズムを解明し、栄養学的アプローチによって腫瘍免疫に介入する途を探る。栄養学的観点から、新たながんイムノセラピー開発の基礎となるデータを収集する。 2021年度は、上記ビタミンの代謝に関わる酵素2種のノックアウトマウス作製を行った。酵素Aについてはfloxマウスをもとに、Creを生殖系列にて作用させ、得られたマウスをノックアウトマウスとした。酵素Bについて、中途のステップでトラブルが発生し、計画が遅延してしまったが、新年度の早い段階で樹立できそうなところまでリカバリーできた。またマウスでの食事介入実験に用いる特殊エサを、追加でさらに4種類作製した。 当該ビタミンの摂取制限による腫瘍免疫賦活作用が腸内細菌叢の変化を介している可能性を考え、検討した。マウスに当該ビタミン制限食を与え、経時的に便を採取し、16Sリボソーム配列解析にもとづいた菌叢解析を行った。その結果、上記食事介入によって、かなり速やかな細菌叢変化を引き起こすことが分かった。他に、ビタミン制限マウスの血中栄養成分解析や、通常食として用いているエサの精密な栄養成分分析も行った。 上記食事改変と免疫チェックポイント阻害との併用について検討した。当初はPD-1阻害にて検討を始めたのだが、結果の再現性等の点で十分な性能ではなかった。そのため、PD-L1阻害との併用を検討することにした。投与間隔や投与量などについて、条件決定を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスの作製等の一部に遅れが生じた部分もあるが、他の進捗具合等を総合して上記評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
前年度は実験系や実験材料の構築・作製の部分が多かったが、そのかいあって有効な検証が出来ると期待できる状況である。それらを活用して一層の研究進展をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
・消耗品費が当初想定よりも僅かに少なくすんだため ・次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
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