研究課題
近年のがん免疫療法の発展は目覚ましいが、耐性症例の多さなど、課題も多い。申請者らは最近、あるビタミンの摂取制限に「腫瘍免疫を賦活する作用」があることを、思いがけず発見した。本研究では、その分子メカニズムを解明し、栄養学的アプローチによって腫瘍免疫に介入する途を探る。栄養学的観点から、新たながんイムノセラピー開発の基礎となるデータを収集する。2022年度は、前年度において樹立に成功した上記ビタミンの代謝に関わると予想された酵素Aのノックアウトマウスを用いた解析を行った。予想通り、A-KOマウスにて、血中からの当該ビタミン枯渇と前駆体の異常蓄積がみとめられた。酵素Bのノックアウトマウスについて、樹立を完了した。ホモ欠損個体も相当数得られており、今後、詳細な解析に供する予定でいる。ちなみに、いずれのノックアウトマウスも、現在まで、一見正常に出生・発育し、繁殖も可能という結果が得られている。遺伝子改変マウスを用いた解析と並行して、前年度に作製した特定ビタミン再添加エサを用いた解析も行い、当該ビタミンの代謝経路等を明らかにした。当該ビタミンの摂取制限によって、免疫チェックポイント阻害(PD-L1阻害)による治療効果が増強・改善されるか否かを検討した。通常食下での治療と比べ、ビタミン制限下でPD-L1阻害を施した群の方が腫瘍抑制効果は高い傾向があったが、統計的な有意差がみとめられる程ではなく、実験条件等を最適化するなどしてさらに検討する必要がある。
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Nihon Shokakibyo Gakkai Zasshi.
巻: 119(10) ページ: 961-968
10.11405/nisshoshi.119.961.