研究実績の概要 |
本研究では,人間-機械-情報環境系を対象に考え,人の好みや意欲に配慮した動作支援や能力拡張に資する“ 情報 ”と“ 力(ちから) ”のインタラクション(ハイブリッドインタラクション)の在り方をシステム論的に解明することを目的と定める.この研究目的を達成するため,今年度は,空気圧駆動系の擬人化による力のインタラクション,および,インセンティブ制御による情報のインタラクションの2課題について取り組んだ.今年度に得られた成果は,我々が開発した空気圧駆動系との力の相互作用を実現する制御技術,および,人間らしさを表す感情を取り入れた意思決定モデルを開発した. 空気圧駆動系の制御技術に関しては,McKibben型空気圧ゴム人工筋を用いた拮抗構造のアクチュエータに対し,関節角度および関節剛性を同時に制御するモデルベース制御技術を開発した(Shin, et. al.,IEEE/ASME Transactions on Mechatronics, 2022).また,拮抗構造の動的モデルを解析することで,制御可能な関節剛性の範囲を可視化することに成功した(Shin, et. al., Advanced Robotics, 2022). そして,意思決定モデルに関しては,人の非合理的な意思決定を感情に起因するものと捉え,感情の時間変化を非線形差分方程式でモデルし,部分観測マルコフ決定過程で記述される意思決定の合理性や,感情モデルにより起因する非合理性との割合をパラメータで調整可能な数理モデルを提案した(Iinuma, et. al., Mathematical and Computer Modelling of Dynamical Systems, 2021).
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