本研究では,人間-機械-情報環境系を対象に考え,人の好みや意欲に配慮した動作支援や能力拡張に資する「情報」と「力」のインタラクション(ハイブリッドインタラクション)をシステム論的に解明することを目的と定めました.この研究目的を達成するために,今年度は,より正確な力のインタラクションを実現する空気圧駆動系の制御技術開発,および,ヒトの好みを反映した情報のインタラクションを実現する非協力ゲームによるインセンティブ制御のモデル定式化の2つの課題に取り組みました.今年度の成果として,空気圧駆動系との力の相互作用を実現する剛性制御技術を開発し,人間らしさを表す感情の表現が可能なゲームモデルの調査をおこないました. 空気圧駆動系の制御技術については,拮抗構造のMcKibben型空気圧ゴム人工筋アクチュエータに対し,関節角度および関節剛性を同時に制御するモデルベース制御技術を開発しました.また,人間への力支援を柔軟にするために開発した拮抗構造空気圧アクチュエータを2つ連結した2軸アームを制作し,その位置決め制御技術を開発しました.一方で,インセンティブ制御のゲームモデル化に関しては,情報の非対称性および利得値の不確かさを考慮した繰り返しゲームモデルを用いて,プレイヤーの感情はそのプレイヤーにしか分からない情報として扱うことで,非対称情報下での2人ゼロサムゲームで裁判記録(殺人事件)のモデル化をおこないました.
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