2023年度は、大きく以下の3つの研究成果を挙げた。 第一に、これまでに設計したプログラマブルスイッチ上での暗号処理技術を、暗号処理をする匿名通信への応用に関する研究に取り組んだ。代表的な匿名通信であるOnion routingでは、ミドルボックスを経由するごとにパケット全体に暗号化あるいは復号処理が必要になる。これに対して、これまでに設計した超高速なスイッチ上での暗号化ミドルボックスの応用を検討した。 第二に、暗号処理のさらなる高速化手法の設計をした。開発成果は未発表であるため、開発手法の内容の説明は割愛する。本手法により、2022年度に開発した手法では200 Gbps程度の処理速度であったのに対して、1 Tbps程度の処理を実現した。 第三に、将来的な研究発展を見据えて、プログラマブルスイッチ上でのミドルボックス処理技術に対して、Smart NICや計算機の併用を検討した。スイッチ上では実装が困難であった認証付き暗号をSmart NIC上に実装するとともに、計算機上のCPU上でもパケットに対する暗号化と復号処理とメッセージ認証コード計算処理を高速に処理する方法を設計し、それらを併用して計算することで、より高速な暗号処理を実現可能にした。
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