研究実績の概要 |
インターネットの普及によって多様な情報が容易に入手可能となっているが,皮肉にも「自分の見たい情報しか見ない」という情報の分断が起こっており,その影響によってエコーチェンバー現象や社会の分断などの様々な社会問題が生まれている.これらの問題を解決するためには,オンラインソーシャルネットワーク 上の情報伝播とユーザの心理的な要因を関連させたオンラインユーザダイナミクスの検討が必要である.2023年度の研究では,2022年度までに実施した研究のまとめとして,COVID-19の流行初期に起こったトイレットペーパー不足に関するフェイクニュースにおいて,その訂正情報によって逆にトイレットペーパーの買い占めが加速してしまった事件をもとに,SNS上を伝播する訂正情報がフェイクニュースの影響を悪化させてしまうメカニズムを活性因子・抑制因子モデルを用いてモデル化し,そのモデルを用いたフェイクニュース対策が有効に働くための訂正情報発信の条件をまとめて論文化を行った.また,フェイクニュースに限らない誤情報の拡散についての分析を行い.その対策技術の有効性を調べた. また,電子情報通信学会 情報ネットワーク研究会で発表した成果(崎山 拓実, 会田 雅樹, ``多様なユーザ特性を反映可能なフェイクニュースと訂正情報の相互作用モデル,'' 信学技報 IN2022-124)に対して,情報ネットワーク研究賞を受賞した.
|