本年度は,提案手法における自律神経反応の検証実験を行った. 提案手法の実現可能性検証実験では,短時間の香料提示による生理的指標を交感神経・副交感神経について計測し,精製水を噴霧した場合と比較した.具体的な計測対象は,皮膚コンダクタンスレベル,心電図,血糖値であり,それぞれ交感神経・副交感神経の活動に沿って変動する.使用した香りは,これまで使用してきたラベンダー精油ではなく,新たにオレンジスイート精油とした.本精油は,交感神経系に作用することが知られている.実験の結果,ラベンダー精油と同様,知覚閾値以下であっても生理的指標が変化することが示唆された.また,副交感神経に作用するラベンダー精油とは異なる結果を示しており,単なる鼻部への刺激による反応ではなく,香料成分による反応であることが示唆された.これにより,様々な種類の香料が提案手法で利用できる可能性を見出した.
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