研究課題/領域番号 |
21K19782
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (70002102)
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研究分担者 |
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 視覚障害 / 聴覚障害 / 認知機能計測 / 感覚代行 |
研究実績の概要 |
本研究では、視覚・聴覚障害者の認知機能 (特にワーキングメモリ,遂行機能) を調べるために,感覚代行機器を利用した計測方法を開発する。それを基に若年期~高齢期における認知機能特性の違いを調べ、その機能低下を補う自立・介護方策を提案する。 具体的には、1)聴覚・触覚提示手法に基づく視覚障害者の認知機能計測システムの開発、2)視覚提示手法に基づく聴覚障害者の認知機能計測システムの開発、3)1)と2)の計測手法を用いた様々な年代の視覚・聴覚障害者における認知機能特性の相違点の把握と,結果を基にした自立・介護支援方策の提案、の3点を研究期間内に実施する予定である。 当年度(2021年度)は、主に、聴覚・触覚提示手法に基づく計測システムの開発に着手した。聴覚のシステムでは、小型音源をマトリクス状に配置した「スピーカマトリクス」による聴覚提示システムを開発した。これを基に、視覚的オブジェクトをスピーカの場所に割り当てると共に,個々のスピーカをボタン化することで、音源定位能力を用いた空間スパン課題を行えるように計画していた。ただし、新型コロナウイルス感染症と、世界情勢の影響から、部品調達等に遅れが生じた。そのため、本年度は、システム構成を設計し直し、部分的な動作確認を行う段階で研究が停滞した。 一方、触覚の提示システムについては、先行研究で開発された触覚ゲームコントローラー (TactCon)を利用したゲームを利用して、多感覚モダリティ提示の有用性を調べた。その結果から、聴覚および触覚への即時による提示が多感覚モダリティ認識の上で重要であることを示した。 今後、これらの聴覚・触覚への提示システムを利用して、視空間ワーキングメモリに関する実験を進め、年代別・障害状況別・障害発症時期別による認知機能特性を把握し、それを基にして自立支援・介護方策の提案を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症と、世界情勢の影響から、部品調達等に遅れが生じたため、システムの開発に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の予定の通りの計画で行う。聴覚・触覚提示手法に基づく視覚障害者の認知機能計測システムについては、提示システムの開発を進めると同時に、ワーキングメモリ計測の観点から実験プロトコルの考案を行っていく。また、視覚提示手法に基づく聴覚障害者の認知機能計測システムの開発についても着手し、視覚・聴覚障害者における認知機能特性の相違点を基にした自立・介護支援方策の提案を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症と、世界情勢の影響から、部品調達等に遅れが生じたため、システムの開発に遅れが生じている。同様の理由で、成果発表の旅費等の支出が延期された。 引き続き、システム開発における電子部品、機械部品、および、成果発表のための旅費に使用する予定である。また、代表者の居住地移転に伴い、打ち合わせ等のための旅費の使用を予定する。
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