舌の触覚的な知覚特性は,これまであまり知られていなかった.これは振動子など接触する刺激では衛生面などでの対応が煩雑となる点が影響していたと考えられる.超音波を利用した触覚刺激では,舌を拘束することなく,また衛生面を気にすることなく触覚を提示できる.同じセットアップで手指にも刺激を提示できるため,感度の比較も容易であり,そのために200Hz付近の特徴的な感度カーブが表出しないことを確認できた. 超高齢社会を迎え,安全に嚥下することは重要な課題の一つである.舌のトレーニングにより筋肉を鍛えるような先行研究があるため,そのような目的での触覚フィードバックにおいて,今回の知見は非常に有用である.
|