研究課題/領域番号 |
21K19785
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池井 寧 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任教授 (00202870)
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研究分担者 |
ヤェム ヴィボル 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (20808258)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 代理身体 / 遠隔 |
研究実績の概要 |
本研究では,1人のオペレータが,遠隔に送った4台の代理身体(アバタロボット)を同時に操ってタスクを並行に実行するために必要となる身体認知の手法を探求する.自己の移動と操作を再現する代理身体で遠隔に臨場し,MR空間シミュレーションで意図する操作を予行し,後にそれを自律実行する代理身体の感覚を身体的な追体験で知覚し不備の発見と修正を行う新しい遠隔操作手法を提案する.遠隔操作の新規の体系化として,代理身体の自律性と時間シフトの遠隔体験を統合し,4タスクの並行実行を実現する設計は,遠隔の実空間タスクを実用化する挑戦的探索である. これまでの研究により,代理身体ハードウェアの構築として,2台のアバタロボットを制作することができ,遠隔操作で任意の方向に視点を移動することが可能となっている.これを用いて,遠隔ライブコミュニケーションを行いながら屋外移動を実施し,探索作業の基礎部分が設定できた.遠隔で移動する身体の感覚を与える際に必要となる情報について,基礎的な調査を行った結果,今後の研究における検討事項が明確化されたと考えられる. この成果は,日本バーチャルリアリティ学会大会における研究発表のほか,同学会の研究会において,会場の視聴者が参加可能な遠隔空間体験デモを実施することにより,システムの実証実験を行っている.さらに,本研究の成果は国際会議における遠隔発表およびオンサイトの展示が採択されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,オペレータが遠隔から操る代理身体ハードウェアとして,2台のアバタロボットをの構築することができ,遠隔操作で任意の方向に視点を移動することが可能となっている.さらにこれを用いて,遠隔ライブコミュニケーションを行いながら屋外移動を実施し,探索作業を行うための基礎部分が設定できている.アバターロボットはさらに追加されるが,これまでの成果は,全体計画の基礎として順調な進展と認められると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
アバターロボットの機能をさらに高めて,身体認知に適合する情報を与え,並行に実行するタスクを効率的に行うことが可能となるように臨場感を制御する手法を探求する.特にMR空間を利用して,身体認知をともなった遠隔タスクのシミュレーションを実装する.シミュレーションのための空間は,実世界の作業空間に対応するディジタルツインであるが,対象とするタスクに該当する空間を構築する.これらにより,多重化された代理身体の自律実行と追体験を統合した遠隔タスクの実行モデルを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた実験装置の購入および国際会議出席旅費などが,Covid-19の影響で実施できなくなったのが理由である.次年度は国際会議での発表が可能となるため,今年度分の発表も行う予定である.実験装置の購入も行う.
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