研究課題/領域番号 |
21K19790
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
渡辺 哲陽 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (80363125)
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研究分担者 |
山崎 公俊 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00521254)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ロボットハンド / マニピュレーション / 摩擦制御 / 表面水分制御 |
研究実績の概要 |
紙に水を振りかけて,紙を柔らかくすることで,不要なしわを減らし折り目をきれいに仕上げるWet Foldingという手法がある.この手法を拡張し,ロボットハンドの指先に熱・水・風を放出できる機構を搭載する.高温水蒸気などの熱・水・風を活用して,しわ取りや折り目をつける等,対象となる柔軟体の特性(硬さ等)を変えながら望みの形状へと柔軟物を整形する,これまでにない新しいロボットによる柔軟物整形マニピュレーション手法の確立に挑み,本年度は,下記の事項を行った. 1.単一モータで薄い紙や布地のピックアップならびにしわ伸ばしを行うことができるロボットハンドの改良を行った.紙の保持は出来てもリリースが難しい点が課題となっていたため,この点を解決し,ウェットフォールディング作業を容易にすることができた.
2.布服の展開に有効な手法であるピンチ&スライド展開に着目したロボットハンドを開発した.布を広げる際,重力によって布が下に引っ張られ指の隙間から布が落下してしまうという問題点がピンチ&スライド展開にはある.そこで1)適切な指の形状と握り方を工夫することで衣服の裾を曲げた状態で挟むことを防止,2)指当て部にベアリングで受動的に回転する突起を取り付け,挟むときとスライド展開するときの衣服裾の細かい凹凸を連続保持,機能を有する指部を開発した.
3.流量の制御により,放出と吸引を切り替えるソフトロボットデバイスを開発した.このデバイスをロボットハンドの指先に取り付けることにより接触面の摩擦を変化させることができるとともに,空気放出により濡れた紙などを乾燥させることができるシステムを実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標であった,「熱・水・風を放出制御できるロボットハンド」の実現に見通しに目途がたったため.また,ウェットヒート柔軟物整形も実現の見通しに目途がたったため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,指先に熱・水・風を放出できる機構を搭載したロボットハンドを用いて,高温水蒸気などの熱・水・風を活用し,しわ取りや折り目をつける等,対象となる柔軟体の特性(硬さ等)を変えながら望みの形状へと柔軟物を整形する,これまでにない新しいロボットによる柔軟物整形マニピュレーション手法の確立に挑む.具体的には,下記の事案に取り組む 【課題1:熱・水・風を放出制御できるロボットハンドとその制御法】対象となる柔軟体の特性(硬さ等)を変えながら望みの形状へと柔軟物整形ができるようなロボットハンドとその制御法の確立を目指す. 【課題2:ウェットヒート柔軟物整形法の確立】対象となる柔軟体の特性(硬さ等)を(必要に応じて)センシングしながら,望みの形状へと柔軟物整形する手法の確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で想定していた学会参加などが行えなかったことと,物品調達が一部上手くはかどらなかったため.最終年度は学会発表などの外部発信を積極的に行うとともに,調達が上手く出来なかった物品の購入に使用する予定である.
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