研究課題/領域番号 |
21K19798
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (30721500)
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研究分担者 |
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
大鶴 直史 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (50586542)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 内受容感覚 / 心拍誘発電位 / リアルタイムフィードバック |
研究実績の概要 |
近年の研究において、身体内の臓器や生理状態についての感覚として「内受容感覚」という表現が用いられている。この内受容感覚は、人間における感情の本質的な根源であり、脳内では主に島皮質で処理されているといわれている。一方、内受容感覚が感情処理の中心とする考えとは別に、内受容感覚の鋭敏さは身体内のモニタリング能力、すなわち身体の適切な制御能力の高さと関連することが報告されている。このことは、内受容感覚の変化に従属して運動機能が変化する可能性があることを示している。言い換えれば、内受容感覚を制御できれば運動機能も人為的に変調できる、と解釈する事も出来る。 この内受容感覚について、心臓からの求心性信号を反映していると考えられる心拍誘発脳電位(hearbeat-evoked potentital; HEP)が内受容感覚の潜在的な指標であるとして近年注目されている。そこで、本研究ではこのHEPに着目し、「内受容感覚が変化すれば運動機能もそれに続き変化する」という仮説を立て、その科学的検証を試みることとした。 2021年度はHEPのリアルタイムフィードバックシステムの構築を中心に研究を進め、実際に心電図R波のリアルタイム検出と、そのR波を基準とした200~400ミリ秒後の脳波をリアルタイムで視覚的にフィードバックするシステムを構築した。次年度は、実際に人を対象と対象とする実験に移行する予定である。具体的には、HEPのリアルタイム制御課題前後に運動学習課題を実施しHEPのリアルタイム制御に伴う運動学習能力の変化を検証する。 HEPのリアルタイム制御トレーニングによって運動学習能力を変調できることが示されれば、リハビリテーション分野やスポーツ分野の学術体系を大きく変革させるほどの研究に発展する可能性がある考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はHEPリアルタイムシステムの構築を中心に研究を進める予定であり、実際にそのHEPリアルタイムフィードバックシステムを構築できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、HEPのリアルタイム制御が運動学習能力を変調するかを明らかにするために、人を対象とした実験を実施する。また、計測と並行して得られた実験データの解析を行う。具体的にはHEP成分のリアルタイム制御課題に伴うHEP振幅値や潜時を抽出し、運動学習能力の変化との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に実施予定である、人を対象とする実験を行うための実験機器メンテナンスや実験消耗品への拠出が必要となるため。 また、新型コロナウイルス感染拡大により当初対面で実施予定だった研究打ち合わせをオンラインにて行うこととなった。オンラインでの研究打ち合わせは実験機器の構成やメンテナンスを議論するには制約が大きいため、次年度は直接対面での研究打ち合わせを行う予定にしている。
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