研究課題/領域番号 |
21K19812
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
細谷 晴夫 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (50335296)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 高次視覚野 / 顔認識系 / 海馬 / 関係性 |
研究実績の概要 |
本研究では、サルの高次視覚野における顔認識系の計算理論について、検証実験を進めた。本年度では、主として実験チーム(米国ロックフェラー大学)での実験システム構築にほとんどの時間が費やされた。本実験システムでは、NeuroPixelという最新の多電極デバイスを用いるが、それを実験対象のマカクザルの頭蓋骨に特化したチャンバーの制作などが主な作業内容であった。本年度末にようやく完成し、安定して神経活動計測が行えるようになったため、次年度に実験を完遂できる見通しとなった。理論側では、研究の興味範囲を広げ、海馬の計算方式に基づく人工知能モデルの研究で成果が出た。海馬系に関する近年の「抽象関係構造」仮説に則り、ヒトの実験から着想を得た関係構造学習タスクを考案し、これを実行する学習モデルを開発した。抽象関係を表現するモジュールと抽象状態と具体対象物との対応を記憶するモジュールの2つからなるアーキテクチャを採用し、具体関係データから、抽象的な関係構造を学習するアルゴリズムを考案した。計算機実験により、(1)このモデルが関係構造を正しく学習し、未知のドメインに汎化すること、(2)既存の有力モデル(Transformerなど)がこのタスクを解けないこと、(3)ヒトの行動実験及び海馬系に関するfMRI実験の結果を再現できること、を示した。これらの結果はAI系のトップ会議であるICLRに採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画よりも高次視覚野の実験の進みが遅かったものの、新規の研究内容で具体きな成果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
高次視覚野の実験システムが完成したので、データ収集を行い、すでに完成している解析プログラムを用いてデータ解析を進め、出版に繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究先の実験システム構築に予想以上にかかり、データ解析や成果発表などが次年度に持ち越しとなった。
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