研究課題
エネルギー地形は、複数のとり得る状態をエネルギーの高低差に基づいて地形図として表現する方法であり、エネルギー地形の概念は、生命医科学分野において、細胞分化や疾患発症に関わるデータ分析に幅広く利用されている。しかしながら、現在しられているエネルギー地形を活用したデータ分析手法は、細胞や個体の状態を静的に把握することが目的であり、細胞分化・発症過程のように動的な遷移の軌跡を推定するには至っていない。そこで本研究では、エネルギー地形に基づくデータ駆動型状態遷移モデルを構築することで、細胞分化や発症のような状態遷移を伴う過程において、数学理論に基づいた新しいデータ分析方法を提供することを目的とし、研究を実施した。2021年度では、細胞分化や発症の動的な遷移の軌跡を推定する手法の妥当性を検証するために必要なデータ解析を進め、結果として査読付研究論文を3編発表した。2022年度では、エネルギー地形に基づく状態遷移過程を推定することで、状態遷移過程モデルから発症や細胞分化の進行を推定する手法の開発に取り組んだ。また、ウイルスダイナミクス、発ガン、マイクロバイオームをはじめとする様々な発症過程進行を表すデータに適用可能な新規機械学習手法の開発、ならびに情報・数理解析を実施した。その結果、査読付研究論文を4編発表した。2023年度では、エネルギー地形に基づく状態遷移モデルの改良に取り組んだ。教師なし機械学習手法を組み合わせることで、解析手法を広く使えるよう拡張した。拡張に関して、査読付研究論文を1編(受理済み)、合計3件発表した。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
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