研究課題/領域番号 |
21K19820
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
石垣 陽 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任准教授 (50723350)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 実地疫学 / クラスター / 集団感染 / アイドル / ライブハウス / 楽屋 / 換気回数 / トレーサガス |
研究実績の概要 |
感染症クラスターの発生リスクが高まるような社会活動において、適切な空気調和を実現するための、効果的な環境測定~情報提示方法を確立する。1年目は主に、①CO2/PM2.5トレーサによる換気量迅速診断パッケージの開発、②運営者・行政を巻き込んだ大規模フィールド調査、③三密回避行動を促すCO2濃度情報提示デバイスの実証を行った。 その結果、40公演を超える音楽ライブイベントでのCO2濃度可視化の実証実験、高齢者施設における感染症クラスターの原因究明、学校におけるビニールシートクラスターの発見、送風機クラスターの発見など大きな成果を出すことができた。これらの研究成果は、報道番組、ニュース番組、情報番組や、主要新聞で大きく取り上げられ、社会的な注目の高さが浮き彫りとなった。 また実証実験のためフィールドワークを行ったところ、不確かな測定値を出すCO2センサが多数発見されたため原因究明調査を行い、その結果はメディア等でも広く報道され、経済産業省から当該研究成果を受けた形でガイドラインが策定されるに至った。学術のみならず国民の意識・行動の変容にも本件研究成果が貢献できた形となった。 来年度は、成果の論文化により、IoTセンサ技術と空調学を融合した新しい学問を切り開く。また、CO2による感染症制御は国際的に推奨されているものの、国・行政の協力のもと、日本が世界で最も先進的に取り組んでいる。次のステップとして国際連携や途上国における感染症制御への支援も視野にいれたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は1年目に迅速換気診断パッケージを開発し、2年目に大規模フィールド調査を行う予定であったが、全て1年目に完了し、都内200ヶ所でのCO2モニタリングに結びついた。実地疫学のフィールドも20ヶ所を超え、5件のクラスターの発生事案について原因究明と再発防止を実現することができたので、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果は随時、メディア(新聞、テレビ)で国民に周知されている。また学術的にはプレプリント投稿によりいち早く研究者同士の国際的な議論がもたらされている。今後は査読付き論文に投稿し、ジャーナル化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のクラスターが多発したため実地立ち入り業務を多く実施し、関連する旅費や機材費が必要となったため。
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