研究課題/領域番号 |
21K19834
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (40192819)
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研究分担者 |
西澤 文吾 国立極地研究所, 研究教育系, 日本学術振興会特別研究員(PD) (10838973) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 海洋環境 / 保全 / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
本研究は, ホットスポットの指標として海鳥を使うため、衛星画像で海鳥の採食群を検出し、その特徴を捉える技術を開発する。初年度の結果を踏まえ、解像度0.5mのPleiades画像に絞り、天売島周辺海域において、衛星画像で採食群と思われたものが正しいか地上観察で確認することを目的とした。2022年4月から6月の3か月間、天売島周辺2kmの海域の解像度0.5mのPleiades画像のリクエスト撮影を行い、撮影の可能性が高い10:00-11:00に地上目視観察を行った。4回の衛星画像が得られたが、同時地上目視観察では海鳥の群れはなかった。そのため、代替えとして、まず、過去10年分の冬にハクチョウ類がよくみられる38地点での冬の既存衛星画像の分析を行った。計233枚の衛星画像のうち108枚の衛星画像でハクチョウ類と思われる白い点を確認できた.一方、同時期にいたはずのガン・カモ類は確認できなかった。これを受け、北海道苫小牧市ウトナイ湖において2022年12月から2023年3月に解像度0.5mのPleiades画像のリクエスト撮影を行い、10:00-11:00地上目視観測とトレイルカメラによる地上撮影を実施した。得られた11枚の衛星画像うち5枚で白点が確認され、2枚はトレイルカメラ画像と照合することができ,1枚は白点数と実測数が一致した。もう1枚では薄氷上に白点が写っていることが確認できたが、実測数とは一致しなかった。別の1枚の衛星画像では白点は確認できなかったが、地上観測では氷上に複数羽のハクチョウがいたことが確認された。地上観測で確認された体が暗色であるガン・カモ類は衛星写真では確認できなかった。水上のハクチョウ個体は一羽単位で衛星画像に写るが、氷上のハクチョウや水面上のガン・カモ類は背景とのコントラストにより写らない可能性が高いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の天売島周辺の既存の衛星画像を得て分析を行ったところ、確実に採食群であると思われるものは得られなかったが、波やほかの物体の識別程度から0.5mのPleiadesでは可能性があると判断された。そこで、2年目には天売島で5~6月に0.5mのPleiades画像のリクエストをしたところ、好天時の4枚の画像が得られた。衛星撮影が行われる10時前後におよそ毎日地上観察を行ったが、この衛星画像撮影と同時の地上観察で海鳥採食群が見られなかった。気象・魚群など不確実性がある。代替え案として、衛星撮影と地上観察が同時に得られる可能性がより高い、湖沼におけるハクチョウも対象とすることを実施した結果、ハクチョウ類では数を抑えられそうなことがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
天売島周辺海域のR4年度の調査では採食群の観察と一致する衛星画像が得られなかったので、2023年度再度天売島において、カモメ類の採食群が多く観察される可能性のより高い4月~5月に限定し、リクエスト撮影をおこなうと同時に、地上目視観察にくわえ、見逃しを減らすためにトレイルカメラによる撮影も実施する。その際、昨年度はおこなわなかった、海上の漁具(とくに浮子)の数、分布、色とサイズも詳細に記録し、衛星で判定可能な物体の洗い出しを行う。これまでに得た過去画像とリクエスト撮影の画像を再度精査し,解像度0.5mのPleiades画像による水上の鳥類の数の把握についての結論をえて、取りまとめの報告を関連学会や学術雑誌で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月まで行われた野外調査用にトレイルカメラなど消耗品を購入予定であったが、既存の機器で間に合ったため。R5年度4月5月で実施することとなったカメラ撮影の機材購入を計画している。
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