本研究では、セレノプロテインP (SeP) によるリソソーム活性上昇とメチル水銀による撹乱作用について、その機構解析を進めた。まず、培養細胞 SHSY-5Y細胞に精製SePを添加するとリソソーム酸性度の増加が認められた。リソソーム内超硫黄はその活性を抑制的に調節する因子であり、SePがその還元を担当することで、リソソーム活性調節に寄与していることを新たに見出した。また、メチル水銀はリソソームの酸性度にほとんど影響を与えなかったが、SePはメチル水銀の毒性を細胞内の動態と蓄積する箇所を大きく変え、これが毒性の変化につながることも見出した。
|