研究課題/領域番号 |
21K19852
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
長谷川 克也 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究開発員 (30425780)
|
研究分担者 |
萩尾 由貴子 明海大学, 総合教育センター, 講師 (50744885)
大谷 淳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90329152)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
キーワード | 地域インフラ / 災害情報取集 / 災害検出 / ドローン / 機械学習 |
研究実績の概要 |
地方自治体では人員削減により慢性的な人手不足が続いており、道路、橋梁、河川などインフラ監視に十分な人手を割くことができず、土砂崩れなどによるインフラ破壊の発見が遅くなるケースが多発している。本研究では自律飛行するUAVによる定期巡回映像をAI解析し映像から自動的に土砂崩れを発見しようとするものである。そのために人工的な土砂崩れをシミュレーションしUAVによってその映像を撮影する。映像を機械学習によって解析することで精度よく検出するために、飛翔体、撮影方法、解析方法、機械学習について総合的に研究を進める。本年度はCOVID-19の影響により本研究の重要な要素であるフィールド実験が制限されたため十分な実験回数を得ることができなかったが、少ない実験により得られたデータの解析方法を工夫することで、データ解析の研究が進みAI、深層学習の部分は成果をあげている。また、データ解析の結果によりデータ取得する飛翔体への飛行高度、飛行速度、飛行パターンによってデータの精度が変化することが確認されたため、翌年度のUAVに対する飛行要求が決定されるなど、少ない実験回数ながら有効な研究成果を得ることができた。 これにより、UAVの自律飛行によって高い検出精度を得るための飛行技術に対する知見が得られたため、翌年度にその研究成果である飛行方法をUAVの実飛行に取り入れることで実際に飛行パターンによって検出精度を向上させる方法に取り組む予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では災害の起こっていない通常状態において自律飛行によりドローンを飛行させ定常状態の地形をデータ化することで災害発生時に自動的に災害(土砂崩れなど)を検知することを目的としている。1年目はCOVID-19の影響によりフィールド実験が制限されたため十分な回数の実験が行えなかった。計画書にある人工的に土を盛り上げパワーショベルで山を崩す土砂崩れのシミュレーションをおこないUAVを用いて画像データから地形変化を検知する実験を2回行った。実験による解析ではAIを用いた解析により地形の変化の特徴を検出することが確認できた。また、画像データから地形を得る際の方式の違いによる解析結果の違いなどを検討に合わせ、深層学習の方法の工夫することによって誤検出の発生を低減する研究を進めることができた。 本研究でUAVの自律航行により調査対象地点のデータを長期間にわたり蓄積することにより機械学習効果を高め災害検出精度を上げることを特徴としている。実際にUAVが飛行する場合に飛翔体は対気速度により飛行するため風向きなどの条件により巡回路を変えることで飛行時間が変化する。陸上走行を行う移動体とは異なった飛翔体特有の特性のため、広域の無人運転のために気象情報を解析し効率的飛行経路の気象変化についての解析を行った。これにより気象条件(風向風速)により飛行プログラムの自動設定の知見を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究はフィールド実験が重要であるが、COVID-19の影響により実験が制限されたことで実験データの解析に遅れが生じた。そこで次年度は実験回数を増やすため現在使用している千葉県富津市の実験フィールドに加え、国立研究開発法人土木研究所(茨城県つくば市)の実験場を使い大型の土砂崩れ実験を行う。 実験フィールドを増やすことで、小規模土砂崩れ、植生による解析影響、大型重機を利用した大規模実験などについて実験回数を増やすことを可能にした。実験回数の増加は機械学習による検出精度の検証に影響し本研究の成果全体に影響すると考えられる。 また、データ解析により飛行高度や飛行速度によってデータ精度の変化が発生することがわかったため、今後データ取得のための飛行技術などの研究も進める。 令和4年6月以降に航空法改正によって無人航空機の運用方法が変わり視界外、自律航法が可能となるため自動巡回における災害検知のシミュレーションの実実験を開始する予定である。 また、自律飛行中の飛行経路の変更など先進技術への挑戦も行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により緊急事態宣言などのため外出制限があり、本研究の重要な要素のフィールド実験が制限されたため十分な研究活動ができなかった。 翌年度は実験フィールドを増やし実験回数を多くすることで実験データを増やし遅れを取り戻す予定である
|