研究実績の概要 |
まず、本研究では金属配位ポリマー上での金属核を中心としたCo/Mn/Ni混合溶液中でのCoの分離挙動を検討した。分離実験に先立ち、金属配位ポリマー上での核生成を行った。金属配位ユニットとしてカルボキシ基を持つ架橋体を合成し、硫酸コバルト水溶液中で水素化ホウ素ナトリウムによる還元反応を行ったところ、ポリマー1gあたり0.57mgコバルトが担持された。コバルトを核に持つ架橋体を用いてCo/Mn/Niの分離実験を行った。架橋体をCo(0.01M), Mn(0.01M), Ni(0.01M)の混合水溶液に加え、、L-アスコルビン酸による還元反応を行ったところ、Co・Mn・Niはほとんど担持されなかった。これは、Co・Mn・Niの標準還元電位が低いため(Co:-0.3V, Mn:-1.1V, Ni:-0.3V)、還元反応が進行しにくかったためと考えられる。 そこで、還元反応より低エネルギーで進行する酸化物生成を利用したCo/Mn/Ni分離を検討することにした。強酸の塩である硫酸金属塩をエチレングリコール/水酸化ナトリウム中で加熱することにより水酸化物を経由し、酸化物が生成する反応を利用した。カルボキシ基を持つ金属配位ポリマーをエチレングリコール/NaOH中に分散させ、200度で2時間反応させることにより、CoOを核に持つポリマーを合成した。得られたポリマーをCo/Mn/Niのエチレングリコール/NaOH混合溶液に分散させ、200度で2時間反応させた後、ポリマーを蒸留水で洗浄後、原子吸光光度計により吸着率を測定した。その結果、Co:100%、Mn:6%、Ni:0%であり、Coを選択的かつ高吸着率で分離できることが明らかとなった。
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