研究課題
挑戦的研究(萌芽)
非天然アミノ酸Z-リジンをセンスコドンに対応してタンパク質に導入する系を組み込んだ大腸菌株を作出した。Z-リジンを与えると、機能が失われた異常なたんぱく質が作られるので、大腸菌の成長は著しく阻害された。その成長阻害の度合いは、選択したコドンに著しく依存した。側鎖の性質がZ-リジンと乖離するほど、コドン-アンチコドンの相互作用が強いほど、毒性は強くなる傾向がみられた。この仕組みを用いて、新規のカウンターセレクションマーカーとして応用できることを実証した。
合成生物学
産業で使われる生物には、安全性の確認がなされていない遺伝子組換え生物、研究やワクチン製造に用いられる病原体、および在来種を駆逐して増殖する外来生物など、「役に立つが、危険性もある」生物が多数ある。本研究は、そのような生物が環境中に漏出した場合、自然の生物には影響を与えずに、特異的に除去できる仕組みを開発した。危険性をあわせもつ生物を、より安全に使用できるだろう。また、物質生産などにおいて、微生物の密度を調節し、最適な効率を得る方法としても応用できるだろう。