研究課題/領域番号 |
21K19885
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 康行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00235128)
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研究分担者 |
西川 昌輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40843149)
新宅 博文 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (80448050)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 肝細胞 / 多核 / ゾネーション |
研究実績の概要 |
肝臓の最小構成単位である肝小葉では、門脈から中心静脈に向かって肝細胞に位置(Zone)に応じた役割分担(Metabolic Zonation)があり、薬物の肝毒性や肝線維化などの肝疾患が部位特異的に起こることが知られている。このゾネーションを惹起するメカニズムについては、肝細胞のヘテロ性や酸素濃度勾配など複数指摘されているが、それらの相互関係や寄与率などは全く分かっていない。 本研究では、多様な核型(染色体倍数性)に加えて単核と二核が入り混じるヘテロな肝細胞の生理学的役割分担を解明することを目的とする。 二核肝細胞の単一核遺伝子発現解析の最大の課題は核の単離であったが、様々な予備検討の結果、細胞骨格阻害剤処理が有効であることが分かった。ヨダカ技研の協力の下、超微小液量オートマニピュレータを用いて同一細胞由来の二核の個別回収をし、その後、理化学研究所開拓研究本部新宅マイクロ流体工学理研白眉研究チームの新宅らとの共同研究でシングル核の網羅的遺伝子解析に持ち込むことに成功した。しかし、解析結果からかなりのRNAが途中で分解されてしまっていることがわかった。また、現状では数個の細胞核を分離するのに数時間かかることからも、信頼できる十分なデータ数を確保するには分離手法の改善が必要であることがわかった。 以上のことから、まずは核の数に従って効率よく細胞集団を分けることが重要であると考えた。そこで、細胞核膜タンパク質Sun1とGFPがフュージョンタンパク質として発現するマウスをジャクソンLabより購入した。また、肝細胞特異的に発現するアルブミンとともにCreを発現するマウスを共同研究先より取得するプロセスを進めている。これらのマウスをかけ合わせることで、肝細胞の核膜をGFPで光らせ、単核と二核をFACSで分離してその後の実験に用いることを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二核肝細胞の単一核遺伝子発現解析の最大の課題は核の単離であったが、様々な予備検討の結果、細胞骨格阻害剤処理が有効であることが分かった。ヨダカ技研の協力の下、超微小液量オートマニピュレータを用いて同一細胞由来の二核の個別回収をし、その後、理化学研究所開拓研究本部新宅マイクロ流体工学理研白眉研究チームの新宅らとの共同研究でシングル核の網羅的遺伝子解析に持ち込むことに成功した。しかし、解析結果からかなりのRNAが途中で分解されてしまっていることがわかった。また、現状では数個の細胞核を分離するのに数時間かかることからも、信頼できる十分なデータ数を確保するには分離手法の改善が必要であることがわかった。 以上のことから、まずは核の数に従って効率よく細胞集団を分けることが重要であると考えた。そこで、細胞核膜タンパク質Sun1とGFPがフュージョンタンパク質として発現するマウスをジャクソンLabより購入した。また、肝細胞特異的に発現するアルブミンとともにCreを発現するマウスを共同研究先より取得するプロセスを進めている。これらのマウスをかけ合わせることで、肝細胞の核膜をGFPで光らせ、単核と二核をFACSで分離してその後の実験に用いることを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは核の数に従って効率よく細胞集団を分けることが重要であると考えている。細胞核膜タンパク質Sun1とGFPがフュージョンタンパク質として発現するマウスをジャクソンLabより購入した。また、肝細胞特異的に発現するアルブミンとともにCreを発現するマウスを共同研究先より取得するプロセスを進めている。これらのマウスをかけ合わせることで、肝細胞の核膜をGFPで光らせ、単核と二核をFACSで分離してその後の実験に用いることを考えている。さらに、DRAQ5でDNA量を定量することにより、核型と核の数の全ての組み合わせで細胞を分取することが可能になると考える。 以上の手法を用いて、核型と核の数の全ての組み合わせについて網羅的遺伝子発現解析を行う。次に、分取した細胞を培養し、機能解析することでゾネーションとの関係を明らかにする予定である。 さらに、メスの肝臓由来の二核の細胞を培養し、X染色体の不活化などに着目しながら二核の役割を検証し、肝臓のボトムアップ的理解の進展につなげる予定である。
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