脳由来神経栄養因子を用いた脳機能の再生は、難治性の中枢神経系(CNS)疾患の治療において注目されている。一方で十分量のタンパク質を全身投与により脳内に送達するには、血液脳関門(BBB)と呼ばれる脳内への物質輸送を著しく制限する生体内バリアの通過が必要不可欠となり、未だにチャレンジングな課題である。本研究課題では、研究者らが開発した効率的にBBBを通過する機能を有する高分子ミセルを応用し、「生体内安定性の著しく低いmRNAを全身投与で生体内の局所に送り届け、大量のタンパク質を持続的に産生させること」に成功した。本成果は、脳機能の再生に基づくCNS治療法という全く新しい治療法への展開が期待できる。
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