研究課題/領域番号 |
21K19893
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
|
研究分担者 |
早瀬 元 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (70750454)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
キーワード | オルガノイド / プラズマ / プラズマ荷電タンパク質 / ブロックビルド |
研究実績の概要 |
研究初年度である2021年度は、(1)プラズマ荷電タンパク質溶液を生成する機構のマイクロスポット化と(2)基本要素となる任意形状のオルガノイドブロックを作製する技術の確立、に取り組んだ。 (1)については、ガラス管内に配置したニードル電極に高電圧を印加することでコロナ様の誘電体バリア放電を発生させ、ニードル中を通した溶液をナノミスト化する技術の開発に成功した。開発した技術は、水性および油性の溶液の両方をミスト化することが可能であり、比較的粘度の高いコラーゲン溶液にも適用することができることを確認した。プラズマによって溶液中に生成される窒素酸化物や過酸化水素が想定よりも多く、細胞への影響が無視できないことから、溶液中に予め化学種生成を阻害するスカベンジャー等を含有させる必要性があることも併せて確認した。また、オルガノイドブロックの接着したい部位に局所的に塗布するにはさらなる技術の改良が必要である。 (2)については、基本形状として球型、ドーナツ型、円柱型、シート型、直方体型の5種類のオルガノイドブロックを生成する手法を確立した。作製可能なオルガノイドブロックのサイズは数 mm~1 cmサイズであり、基本要素ブロックとして用いるには十分な仕様であり、当初の目的を達成できていると判断した。作製したオルガノイドブロックの長期培養を試行した結果、1ヶ月程度であれば、細胞死等の問題を発生させずに培養を継続できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラズマのマイクロスポット化には課題が残っているものの、基本要素となるオルガノイドブロックについては要求仕様を達成することができたため、計画は順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、まずプラズマのマイクロスポット化技術を改良する。これにより、オルガノイドブロックの接着したい局所的部位に接着剤となるタンパク質溶液を塗布可能にする。また、任意形状のオルガノイドブロック要素を接着しながら組み上げる形で臓器オルガノイドの実スケール化を実現する。本研究で対象とする臓器は腎臓とし、まず腎臓の内部構造に合わせて各種細胞で構築した数mm~数十mmサイズのオルガノイドブロックを作製する。このブロック要素同士を、マイクロスポット沿面放電によって生成されたプラズマ荷電タンパク質溶液を用いて接着し、腎臓オルガノイドを組み上げる。構築した実スケール(10 cm程度)の腎臓オルガノイドについて高次機能の発現を確認する。
|