研究課題/領域番号 |
21K19893
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
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研究分担者 |
早瀬 元 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (70750454)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | オルガノイド / ブロックビルド / 糸球体 / 共存培養 |
研究実績の概要 |
最終年度である2023年度は、(3)オルガノイドの高速ブロックビルド技術の確立に取り組んだ。血液を濾過し原尿を生成する役割を担う腎臓の糸球体を対象とした。糸球体を構成する細胞として腎臓糸球体上皮細胞、メサンギウム細胞、血管内皮細胞の3種類を用いた共存培養を行い、糸球体様構造を再現するオルガノイドの構築を試みた。コラーゲンとマトリゲルを含む細胞外基質のハイドロゲルを足場に、3種類の細胞が複雑に絡み合う様な構造を形成した。先行研究にあるヒト腎臓糸球体の組織標本と比較すると形態学的な差異はみられるものの、糸球体様構造を再現することに一部成功したといえる。並行して培養条件の最適化を試み、上記の糸球体様構造を高い再現性で作出可能な培養液組成を特定するに至った。また、糸球体様構造を有するオルガノイドを立方体形状で作製、ユニット(ブロック)化し、複数のブロックを組み上げることを試みた。ブロックの接着にはオルガノイド基質と同様の細胞外基質を用い、血管内皮細胞を混合することで、ブロックの接着後にブロック間に3次元血管網の形成を誘導し、ブロック同士がクロストークできるようにした。ブロックの組み上げによって1cm弱のサイズで腎臓糸球体様オルガノイド複合体を形成することに成功した。一方、オルガノイド複合体が巨大になることに併せて、内部の細胞に酸素や栄養の供給路が不足し、組織として成熟させるには至らなかった。血管網の形成は誘導できたものの階層性のある血管網とはならなかった。今後は継続して階層性のある血管網の構築プロトコルの確立に取り組み、構築したオルガノイド複合体の成熟と臓器高次機能の発現を目指すこととした。
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