研究課題/領域番号 |
21K19895
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
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研究分担者 |
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00512310)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 歯根膜 / 細胞系譜 |
研究実績の概要 |
歯根膜の組織再生において鍵となるのは,多様な細胞構成の再現であり.そのためには組織幹細胞を起点とする細胞系譜の分化制御メカニズムの解明が必要である. 遺伝子ネットワーク解析は,網羅的に取得した遺伝子発現のデータから特定のアルゴリズムを用いて,生物学的に意味のある遺伝子群を抽出する方法である.なかでも加重共発現解析(WGCNA: Weighted gene co-expression network analysis)は“特定の細胞種において特異的に発現する遺伝子群は互いに高い相関を示す”原則に基づき,多種の細胞が混在する条件下においても細胞のクラスタリングを可能とする解析アルゴリズムである(Langfelder et al. BMC Bioinformatics. 2008). 本年度はマウス臼歯の歯根膜組織から抽出したtotal-RNAからRNA-seqにより包括的な遺伝子発現解析を行なった.WGCNAにより検出された遺伝子群のクラスタリングを行なったが,マウス切歯で報告されている様な,細胞種毎の明瞭な細胞のモジュールは検出されなかった.これは特性の大きく異なる上皮系と間葉系の細胞が混在する切歯に比べて,特性の近い間葉系細胞を中心としてから構成される歯根膜ではその中での違いをWGCNAでは検出されなかった為であると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス臼歯の歯根膜組織から抽出したtotal-RNAからRNA-seqにより包括的な遺伝子発現解析を行ない,解析に必要な元データの取得を行なった.当初計画していたWGCNAに加えてより解析精度の高い手法を検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
初年度はRNA-seqにより得られた包括的な遺伝子発現データをノンバイアスにWGCNAを用いて解析を行なったが,次年度はGli1やCD90/Thy1などの既知の幹細胞マーカーを基軸に解析を進める.合わせてWGCNAとk-meansクラスタリングを併用する方法(Botia et al. BMC System Biology. 2017)や,WGCNAと同様に“特定の細胞種において特異的に発現する遺伝子群は互いに高い相関を示す”原則を用いる共発現解析アルゴリズムであるwTO(Gysi et al. BMC Bioinform. 2018)や, Gene Whole co-Expression Network Analysis (GWENA) (Lemoine et al. BMC Bioinformatics. 2021)を使用し,得られた結果の検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
大学内の教養設備の使用と共同研究により,データ解析に必要な経費を大幅に削減することが可能であった.余剰分は新たな遺伝子発現データの取得に充当し,データの信頼性の向上を目指す.
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