研究課題/領域番号 |
21K19897
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川嶋 啓揮 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20378045)
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研究分担者 |
大野 栄三郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00447822)
石川 卓哉 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (00792649)
飯田 忠 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30878319)
中村 正直 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60467321)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 十二指腸乳頭部腫瘍 / 胆道癌 / 細菌叢 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、胆膵疾患の十二指腸主乳頭(PV)のブラシ擦過採取による表層細菌叢プロファイル作成と将来の基礎研究・臨床応用の可能性を探索することである。膵癌についても腫瘍内細菌の存在が明らかとなり注目されている。しかし、膵癌以外の胆膵疾患に関する報告は乏しい。PVは胆管・膵管が開口し、病変を通過した胆汁・膵液にさらされており、直視下に低侵襲でサンプル採取出来る特徴をもつ。本研究はPV擦過採取による細菌叢解析を行い今後の胆膵疾患の表層細菌叢、手術検体による病変内細菌叢、PV表層細菌叢と臨床所見を比較検討できるかを探索する。 2021年度で乳頭部腺腫11例、乳頭部癌6例、胆管癌14例に同意を取得し、サンプル採取を行った。乳頭部癌と腺腫では菌種に有意差が認められ、一部、大腸がんなど他の癌での増加が指摘されている菌種の増加が指摘され、α多様性にも有意差が認められた。胆管癌症例の乳頭部擦過による菌叢解析は可能であるが、胆管病変部のNGS解析可能率が50%を下回っており採取方法に工夫が必要だと考えられた。この結果により少なくとも、PVと胆管病変表層には細菌叢が存在しており、PVにおいては腺癌症例の菌種が有意に異なることが分かった。 2022年度は、特に胆管病変の症例数を増やすとともに、解析率を改善できる取り組みも考慮する。乳頭部腺腫、腺癌症例については当院で施行している大腸腫瘍症例との比較検討を行うとともに、発癌メカニズムの解析につながるような基礎的発展研究の可能性も模索したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例数の蓄積は順調に進んでいる。PVと胆管病変表層には細菌叢が存在していることが分かり、解析も可能であり今後の研究の継続に期待が持てる。乳頭部腺腫、乳頭部腺癌症例では予想されていた菌種の増加が認められた。名古屋大学医学部附属病院消化器内科で施行している大腸腫瘍の研究との差異を見出しながら、症例数を増やすとともに、発癌メカニズムの解析など基礎的検討も考慮できる状況である。胆管病変部の解析率の改善に向けて原因検索を行っている状態であるが、症例数は増えているので解析数はまずまずの数字になっている。
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今後の研究の推進方策 |
乳頭部腫瘍については大腸や他の消化器疾患における細菌叢との比較なども考慮していく。胆管病変については、まず多くの症例をエントリーして解析可能な症例数を増やすとともに採取方法の改善を模索する。摘出標本での擦過や組織採取も進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例数が集まってからNGS解析を施行している。その日程の関係で2021年度は予定より一回分少なくなった。2022年度にNGS解析を予定しているので予算を使用することになる。また、採取ブラシなどは古いものを使用しており在庫がなくなり次第新規購入が必要となるので予算が必要である。
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