研究課題/領域番号 |
21K19904
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 康友 京都大学, 医学研究科, 教授 (00337338)
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研究分担者 |
鯉渕 晴美 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20382848)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 褥瘡 / 横波 / 治療 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
褥瘡は身体の一部が長時間にわたり圧迫を受け、皮膚組織の循環障害がおこり、発赤・腫脹・びらん・潰瘍の形成を経て、ついには壊死に至る病態である。さらに抗生剤抵抗性感染症の合併は必発で、抗生剤抵抗性の主な原因は緑膿菌などの起因菌自ら産生し鎧のようにまとうバイオフィルムであり、褥瘡の難治化は高齢者の在宅医療推進に大きな障害となっている。本研究は、バイオフィルム形成を阻害する手法としてのみならず皮膚組織の循環障害の改善法として、褥瘡被覆材の加振により発生する「横波」に着目し、難治性感染症の予防を可能とする褥瘡の新しい治療法を開発することを目的としている。2021年度は、①褥瘡被覆材におけるバイオフィルム形成状態の評価法の確立、および、②市販の電動歯ブラシを用いた加振のバイオフィルム阻害効果(in vivo)、について検討を行った。①について:様々な仕様の褥瘡被覆材を用いたがin vivo 実験において扱いが困難なものが多く、比較的扱いの容易な「ハイドロサイト」を用いておこなった。市販のバイオフィルム検出ツール(サラヤ社製)を用いて褥瘡被覆材におけるバイオフィルム形成状態の評価が可能であることが示唆された。②について:表皮ブドウ球菌をシャーレにて培養し、バイオフィルムを形成後、電動歯ブラシ(パナソニック社製 EW-DS1C-A)を底面にあて横波を加えたところ、クリスタルバイオレット法によりバイオフィルムの消失が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルムに関する検討から着手したところ、想定通りの結果が得られており、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
①褥瘡被覆材におけるバイオフィルム形成状態の評価法の精査:定量的評価が可能であるか引き続き検討を行う。 ②市販の電動歯ブラシを用いた加振のバイオフィルム阻害効果:実臨床で問題になる緑膿菌におけるバイオフィルム阻害効果に関する検討をシャーレ上および被覆材上で行う。 ③市販の電動歯ブラシを用いた加振の正常皮膚血流に及ぼす影響について、超音波パワードプラ法およびレーザー血流計を用いて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響で緊密な研究打合せを行うことが困難であったこと、および横波発生装置として採用した市販の電動歯ブラシが比較的良い結果をもたらし、多数購入するに至らなかったことが理由として挙げられる。
加振器の皮膚血流に及ぼす影響について超音波パワードプラ法で皮膚血流の評価を行うが、より詳細な評価を行うためのレーザー血流計の購入に充てる予定である。
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