研究課題/領域番号 |
21K19909
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
朝長 啓造 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (10301920)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | ウイルスベクター / 幹細胞 / 遺伝子治療 / エピゲノム |
研究実績の概要 |
ウイルスベクターによる遺伝子導入は細胞のエピゲノムに恒常的変容(エピゲノム摂動)をもたらす。この摂動は遺伝子治療の効果に大きく影響するが、これまでウイルスベクターによるエピゲノム摂動を詳細に検証した研究はない。ウイルスベクターによる遺伝子導入は細胞のエピゲノムに恒常的変容(エピゲノム摂動)をもたらす。この摂動は遺伝子治療の効果に大きく影響するが、これまでウイルスベクターによるエピゲノム摂動を詳細に検証した研究はない。本研究は、独自に開発した新規RNAウイルスベクターREVecによる遺伝子導入がもたらすエピゲノム摂動を明らかにし、遺伝子細胞治療ベクターとしての安全性につなげると同時に、ウイルスエピソーマルRNAによるエピジェネティクス制御というウイルスの新しいゲノム制御機構の探究を行う。本年度は、「達成項目1:REVec導入による幹細胞のエピゲノム摂動の解明」において、REVecを導入したiPS細胞ならびに間葉系幹細胞を作製し、分化誘導を行うとともに、導入幹細胞の生化学的性状について解析を行った。また、ChIP-seq解析のための細胞ゲノムの抽出と条件設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、幹細胞遺伝子治療ベクターとしてのREVecの安全性と有効性を実証するとともに、エピソーマルRNAによるエピジェネティクス制御というウイルスの新しいエピゲノム制御機構の解明を目標としている。初年度は研究計画書に記載していた達成項目1「REVec導入による幹細胞のエピゲノム摂動の解明」におけるChIP-seq解析を終了させる予定であったが、REVec導入幹細胞の作製がやや手間取り、条件設定まで進捗した。一方、計画に変更はなく当初の目標に沿った研究を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、当初の計画に基づきChip-Seq解析を進めるとともに、REVec導入iPS細胞と間葉系幹細胞のシングルセル解析を行う。また、達成項目2の「REVec エピゲノム摂動の幹細胞分化への影響の検証」において、REVec持続導入幹細胞にける増殖や遺伝子発現の異常を詳細に解析し、分化誘導させた細胞において遺伝子発現など分化異常に関する品質の検証を網羅的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたiPS細胞や間葉系幹細胞の培養に係る費用ならびにREVecの作製費用には変更がなかったものの、Chip-seq解析やシングルセル解析が条件設定までしか進まなかったことによりそれらに使用する試薬やキットの使用が少なかった。また、旅費の使用がなかったため。
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