研究課題/領域番号 |
21K19910
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
荻野 千秋 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00313693)
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研究分担者 |
明石 昌也 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40597168)
西村 勇哉 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 客員准教授 (40728218)
筧 康正 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (70772896)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 放射線照射 / ルチン修飾 |
研究実績の概要 |
近年、口腔がんと口腔細菌叢(歯周病菌叢)との関連を示唆する科学的根拠が報告され、注目を集めている(Scientific Reports, 7, 11773 (2017)など)。本研究の目的は、口腔がん、および歯周病の原因となる歯周病菌叢に対して、同一手法で治療する方法を提案する。具体的には、我々が構築した「過酸化チタン粒子」(TiOx)の酸化力、およびその放射線照射法の適用性を適用・検証する事である。本研究の目的は、「過酸化チタン/放射線」照射法を、口腔がんや歯周病菌叢へと適用し、少ない放射線量においてもがん細胞、および細菌損傷に適用可能か検証を行う事である。この研究目的の遂行のために、以下に掲げる2つの項目について検討を行った。 [1] 植物成分でコーティングされた過酸化チタン粒子の開発:TiO2 NPs(石原産業)を元に、RutinG-TiOx NPsと、PAA-TiOx NPsにRutinGを添加したRutinG+PAA-TiOx NPsを作製した。各修飾粒子をUV-visとFT-IRによって、RuitnGのコーティングを確認した。PAA-TiOx NPsと比較したRutinG-TiOxの放射線増感効果の検証するために、H2O2の吸脱着量を化学蛍光法によって定量した。PAA-TiOx及びRutinG-TiOx NPsから219.8, 39.5 micro-mol/gのH2O2が脱着した。この結果より、RutinG-TiOxはPAA-TiOxほどではないがH2O2徐放性を持つことが示唆された。 [2] 過酸化チタン/放射線による治療:in vitroでの放射線増感効果を検証するためコロニーアッセイを行った。5Gyを照射した場合、RutinG-TiOx NPsにもPAA-TiOx NPsと同様に放射線増感効果を持つことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に従い、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の実績をもとに、2年目は”歯周病菌群への過酸化チタン/放射線による殺菌”に関して、検討を行う。1年目に確立した植物成分由来成分にて修飾された「過酸化チタン粒子」の酸化力は、細胞内の抗酸化酵素活性を著しく低下させると見込まれる。さらにその状態に、放射線を適用する事で、細胞の放射線増感効果を著しく高め細胞死を誘導できる。本研究では、歯周病菌叢に対して本手法が適用可能か検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
二年目にマウスによる実験を組み込むことで、実験計画に基づいた執行を行う計画である。
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