当初、細胞老化は培養系で起こるアーチファクトと考えられていたが、現在では個体内においても老化細胞は存在し、様々な加齢性疾患の発症に関わることが明らかとなっている。特に老化細胞の表現型の1つであるSASPは、老化の後期において周辺組織に慢性炎症を引き起こし、がんや慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病などを含めた様々な加齢性疾患を発症、さらには病態悪化へ導く増悪因子として考えられている。そのため、老化細胞を標的として、その老化細胞の除去(senolysis)を目的とする創薬や、老化細胞の若返りなどでその周辺細胞への影響を排除する研究が世界中で検討されている。
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