この研究ではヒト末梢神経系、具体的には皮膚の主要な細胞であるケラチノサイトとそれが受けたシグナルを中枢に送る末梢神経細胞を人工的に再構成することにより、ヒトの末梢での痛み刺激の伝達過程とその緩和について明らかにすることを目指した。ヒトケラチノサイトは容易に入手可能であることから、ヒト歯髄幹細胞から末梢神経細胞を誘導することをまず試み、分化誘導条件について検討したところ、ヒト末梢系と考えられる特徴を有した神経細胞を誘導することに成功した。またこれと並行して、ヒトケラチノサイトとラット後根神経節(DRG)神経細胞の共培養を行い、オキシトシンが痛みシグナル伝達を緩和することを明らかにした。
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