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2021 年度 実施状況報告書

ヒトの脳機能解明を目指した人工脳組織の作製・解析技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K19932
研究機関関西医科大学

研究代表者

玉田 篤史  関西医科大学, 医学部, 准教授 (60270576)

研究分担者 六車 恵子  関西医科大学, 医学部, 教授 (30209978)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード多能性幹細胞 / 脳オルガノイド / 多次元イメージング / 画像解析
研究実績の概要

本研究の目的は、多能性幹細胞の自己組織的分化誘導技術(オルガノイド技術)を駆使して、培養下で人工的なヒト脳組織ネットワークを作製し、組織構造と神経活動の計測・解析・操作を行うことで、ヒト脳の動作原理を解明し、背後にある神経・精神機能に関する示唆を得ることである。脳科学の目標の1つは、知性や精神の座であるヒトの脳を科学的に理解し、知見を神経・精神疾患の克服に役立てることにあるが、ヒト脳そのものを対象とした実証的な研究は倫理的・技術的制約により実施困難である。現状を打破するために、脳オルガノイドをヒト脳の科学的理解に活用することを、本課題では提案する。細胞で脳を創ることで、ヒトの脳機能を解明し、知性の根源に迫ることを目指すものである。本課題の遂行により未踏領域であるヒト脳の科学的理解に貢献することを目指す。具体的には、脳組織の作製、解析、操作の3項目を設定して研究開発を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.脳組織の作製: ヒトES/iPS細胞よりオルガノイドを形成して脳組織を作製し、実験材料とする手法の開発に取り組んだ。まず、既存の無血清凝集浮遊培養法(SFEBq法)で、妊娠第2三半期相当の組織を作製した。
2.脳組織の構造・機能解析: 脳オルガノイド内の細胞形態および組織構造を3Dイメージングにより計測して解析する技術開発に取り組んだ。無染色標本には代表者が開発したRiesz変換微分干渉顕微鏡を用い、蛍光と等価な3D輝度画像を取得して立体像を構築した。また、tamoxifen誘導型Cre-loxP系を導入した遺伝子組換えiPS細胞を用いて、任意のタイミングで特定の細胞種に蛍光を発色させる手法を開発した。次に、脳機能に関する情報を得るために、オルガノイドの神経活動を計測する技術を確立した。カルシウムセンサーを発現するiPS細胞を作製し、そこから形成したオルガノイドにおいて神経活動計測を実施した。
3.脳組織のパターン刺激・ゲノム編集による操作: 脳機能に関すると予想される分子について、ゲノム編集技術を適用し、改変iPS細胞から脳組織を作製して表現型を計測・解析することで、機能検証を実施する手法の開発に取り組んだ。

今後の研究の推進方策

引き続き、脳組織の作製、解析、操作の3項目について研究開発を実施する。
1.脳組織の作製: 非神経細胞を含めた複雑系脳オルガノイドの手法と、複数領域の脳オルガノイドを共培養する手法を組み合わせることで、複雑な機能系を再現する脳組織を構築することを目指す。
2.脳組織の構造・機能解析: 形態解析に関しては、オルガノイドの蛍光画像を撮影し、そこから全神経細胞の3D形態を詳細に描出する手法を開発する。これにより神経走行経路と神経回路ネットワークの幾何学的構造を数値化し、オルガノイドの構造的特徴を定量的に明らかにする。脳機能に関する情報を得るために、カルシウムイメージング等で計測した多次元時空間データを解析することで、脳オルガノイドの活動特性を明らかにし、脳の動作原理・機能発現原理に関する示唆を得る。
3.脳組織のパターン刺激・ゲノム編集による操作:項目2の解析で得られる構造・機能に関する情報を基にして、脳組織に実験的操作・介入・刺激等を加え、ネットワークの動的特性を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本年度実施予定であったデータ解析の一部を次年度実施に変更したため、それに関する費用を次年度使用に変更することにした。

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公開日: 2022-12-28  

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